広大地の判定には税理士としての知識だけではなく、不動産鑑定士としての知識や経験が必要になってくる。広大地評価のスペシャリストである税理士・不動産鑑定士の沖田豊明氏が「相続税はこうして減らせ!広大地の活用事例」のタイトルで、広大地の実務的な判断基準から、広大地を活用した相続税対策まで幅広く解説した。 広大地の定義や、評価の適用要件など基本の解説からスタートした本講座。適用要件のひとつである「標準的画地に比して著しく地積が大きいこと」の“標準的画地"とは、何を参考にすればよいのかについて、沖田氏は不動産の専門家としての視点で、一都三県では原則として100平方メートルが基準となっていること、また近隣の地価公示地や地価調査の基準地の地積、各市の開発最低区画面積が参考になることなどを紹介した。 また別の適用要件「戸建分譲業者が買主と思われる土地」、つまり“マンション適地かどうか"については、分譲マンションの需要の有無で判断するべきで、賃貸マンションは判断基準とするべきではないと説明。判断基準のひとつとして最寄駅からの距離を挙げ、首都圏では原則として最寄り駅から10分以内の地域が、マンション業者が購入を希望する範囲だといえる、などと紹介した。10分超で20分以内の場合はグレーゾーンで、この場合は「評価対象地のある地域の不動産の利用状況や市場動向により判断する必要がある」と解説した。 不服審判所や裁判所で争われることの多い「開発道路など公共公益的施設用地が必要となる土地」については解釈がはっきりしていない現状を説明。このような土地を区画割する際には、分譲した場合に一番高く売れるように区画することがひとつのポイントとなり、また広大地の評価の改正により、添付する必要のなくなった開発想定図は「税務署とのトラブルを避けるために必ず添付すべきである」とした。その上で「開発想定図は不動産の専門家に依頼して作成してもらい、最も合理的であるかどうかを理論的・価値的観点から検討してもらうことが、税理士としてのリスクヘッジになり、最終的には納税者のためにもなる」と不動産鑑定士との連携の必要性を述べた。 自宅敷地、市街地農地(畑)を広大地評価できるかどうかが争われた事例の分析では、納税者と税務署側の主張や、判断のポイントとなった点を解説。 その上で、広大地の判定が非常に難しい案件については「説得力のある広大地証明書を作成できるかどうかが是・否認の分かれ目となり、申告する税理士の力量、実力が問われる案件」だとした。 |