高橋氏が徹頭徹尾主張していたのは、相続を考えるときは必ず民法と税法を並列して考えていかなければならないということだ。相続という分野は「税法知らずの弁護士でも民法知らずの税理士でも総合的な判断力が欠けてしまう」という。項目によって、相続税法に記載はないため民法の規定を準用するものや、逆に民法にはないが相続税法基本通達に詳細が定められていることなど、カバーする範囲が多岐にわたるためだ。 こうした基本的な思考法をじっくりと“伝授”しつつ、代襲相続の要件や身分関係の重複、また相続分不存在証明の定義など、現場で即時に判断しなければならない項目についても実例を挙げて説明した。 テキストとして当日配布された資料の巻末には「相続の承認・放棄・喪失の比較表」や「遺産分割上の諸問題一覧表」など、高橋氏がこれまで培ってきた経験に基づくオリジナルデータが載っており、受講者のひとりは、「最高の資料ですね、これをベースに勉強して相続の苦手意識を克服したい」と語っていた。 |