さらに計画の立案から具体的な対策実行までの手順を紹介した。また事業承継に失敗する会社の共通項は、先代が経営に関与し続けることだとし「親が現役にこだわり過ぎる余り後継者の成長を阻み、事業承継のための準備が疎かになる」と指摘し、事業承継の大きな弊害だと語った。 また新社長が、新体制後に古参社員との軋轢によって失敗したケースについて「後継者と現場社員との対立は高い確率で起こる」と警鐘を鳴らし、現場との意思疎通と意見統一を図ることは、経営改革同様に重要課題であると述べた。この日に紹介した事例は、現状の認識不足から会社の悲劇を招いたケースが多く、参加者からは「具体的な失敗例の解説で役立った」との声が多く寄せられた。 第2部は、事業承継や資本政策コンサルを提供するTOMA事業承継コンサルタントの佐藤徹氏が「家族・会社を守る 事例で学ぶ失敗しない“相続税対策”」をテーマに講演。会社を存続させることを第一に捉える佐藤氏による、経営者が自社株への認識の希薄さから引き起こした失敗例などが紹介された。相続時精算課税制度の活用、債務を株式化するデッド・エクイティ・スワップの活用のほか、万が一に備えた会社名義の保険利用などを述べた。参加者からは、「紹介された多くの事例は取引先への提案や談話の材料としても活用したい」といった声などがあがった。 |