第2部では、「土地評価最新事例」をテーマにランドマーク税理士法人代表税理士の清田幸弘氏(写真)が講演。「都市農家と地主に強い事務所」として知られており、今日までに手がけた相続案件は900件以上で、相続案件の経験では日本TOP5に入ると言われている。事務所の名称通り土地のスペシャリストによる経験に裏打ちされた明快な解説とテクニックの数々が披露された。 清田氏は相続税の還付に関して、還付を受けられる場合は「土地の評価減不足」「債務控除不足」「単純な計算ミス」があった時だと述べ、「土地の評価減」として減額評価の高い土地を見直すことで還付を受けることができると話した。それは広大地、不整形、高低差のある土地や高圧線下の土地など。「債務控除不足」とは、債務となる預り敷金の計上漏れだと指摘した。 さらに相続税の還付手続き期限について、平成23年12月2日以後に法定申告期限がくるものについて、更正の請求が5年に延長になったことを強調した。相続財産に土地があり、何らかの特殊事情の土地であれば相続税還付の可能性が高まると説明する。 また「税務調査は預貯金を対象に行われるが、その時に土地の評価は話題に挙がらない」と指摘するのは、税理士によっても判断が割れる土地の評価は複雑で高い専門性が求められると語る。 土地の評価価額の算出は「通常の評価」−「個別事情による減額」で求めるが、この「個別事情による減額」の中にはさまざまな外的要因、広大地評価、不動産鑑定評価などの評価が含まれており、これらが大きく減額に関わってくると清田氏は唱える。 広大地適用のポイントとして「中高層の集合住宅等の敷地用地」や「標準的宅地より地積が広大」などの土地を例に挙げ、開発道路(潰れ地)があれば広大地として認められる可能性があると解説。実際に潰れ地を提案して作った事例なども紹介した。 減額できる可能性の高い土地として、形の良くない土地(不整形地)では、実際に現場に赴くと全く違うこともあるので注意が必要だと述べる。道路と地面の間に高低差のある土地なども、まさに現場に行かなければわからないケースだが、申請書に記入されていないことも多いと説明する。その他の減額できる可能性の高い土地については、道路の間に水路を挟んでいる土地や、騒音や悪臭などの劣悪な住環境の土地を紹介した。例えば墓地に関してはグレーゾーンが多くあり、周辺図を見る際にはまず墓地を探すとも話す清田氏は、墓地がどの角度から視界に入るかといったさまざまな見解が入り組むと語る。 実際に還付を得ることができた事例として、広大地評価や市街地山林の評価のほか、工場地帯の駐車場と貸倉庫の敷地が広大地評価適用となった事例などが紹介された。 すべての事例をホワイトボードに細かく作図し、参加者からは好評価の感想が寄せられた。中でも「これほどまでに土地の評価減の可能性があったとは」などの驚きの声が多数見受けられた。 |