第1部は、高橋博税理士事務所の高橋博税理士が「事業承継対策 最新事例」と題して、保険を活用した中小企業の事業承継対策を解説した。 高橋氏は、中小企業の事業承継の実情について、「“その時”が来るまでなかなか対策を取らないことが多い」とし、保険を取り入れた早めの対策を推奨した。ただし、資金計画に失敗して保険料を払えなくなる経営者が少なくない現実も付け加え、「まずはしっかりとした経営計画を立てることが大切。可能な予算を決め、経営計画の延長線上で自社株対策を考える必要がある」と安易な保険活用を戒めた。 さらに、保険活用の節税で最近注目度が高い「逆ハーフタックスプラン」を「入り口から出口まで完全なる節税」として紹介した。 ハーフタックスプランとは、養老保険の死亡保険金受取人を遺族にすると同時に、満期保険金受取人を会社とすることで保険料の半分が損金になる仕組みだが、この死亡保険受取人と満期保険受取人が入れ替わるのが「逆ハーフタックスプラン」である。 また、遺産分割の際の活用法では、長男が自社株を相続したが、他に財産がほとんどない場合、長男を受取人にした終身保険に加入して、弟に受取保険金を代償させる代償分割を紹介した。このように、自社株の相続は遺言があっても、弟やその他の相続人が強固に異を唱えてしまえば、まとまりきらないケースが多く御破算になりかねないとして、“争続”の回避策の一つとして解説した。 |