平川氏は、「経営者のリタイアプランを作るのも会計事務所の仕事の一部」と語り、事業承継の2つの出口戦略として「同族内移転」と「同族外移転」を解説。同族内移転では、「早期決定と長期計画」と「後継者の育成」の必要性を訴え、経営者が60歳をターニングポイントに、人材補充、組織革新、赤字事業の切り捨てなど、「例えば5年と期間を決めて、リタイア準備を行うべきだ」と語った。だが実際には60、70歳代になってもリタイアしない経営者は多く、企業は業績が悪いまま衰退期に進むケースが少なくないという。さらに「同族内移転は、後継者の経営意欲が事業承継を成功させる重要なカギでもある」と平川税理士は語る。 一方、同族外移転のMBOのメリットは、従業員や役員などに承継するので、安心して承継できると解説するが、中には「理想だが、なかなか社内に適任者がいない」との経営者の声も少なからずあるようだ。平川税理士は適正な経営者の選出に対しては、「特定の業務に長けた人材をヘッドハンティングするのもいいし、人材は無限である」と述べる。 MBOのデメリットとして、オーナー経営者であれば「債務保証」と「担保提供」の問題点を挙げるが、「適切な承継者に移転できれば、納税猶予と低額譲渡の税務上のメリットは大きいので活用の余地はある」と話す。 また最近では「FXや株などで急激に利益が出た」と顧問先から相談を受けることもあるようで、有効な節税策として「風力・太陽光発電設備などに関するグリーン投資減税」を紹介。発電に時間を要するが、即日償却可能で、その年の損金算入になると解説し、「将来の収益の確保と節税になる」と語る。 |