まず、前提として鹿谷氏は「家賃収入が減っても不動産所得は増えていく理由」について、借入金返済額に占める支払利息と元金返済額の構成割合の推移をグラフで示したうえで、「その答えは支払利息と減価償却費が減っていくから」と説明。これを踏まえて、相続税評価額の推移表を示しながら、時間が経つに従って相続税の節税効果は薄れていく現実を訴えた。 3つの本題に関してはQ&A方式で話を進め、土地活用については、賃貸アパート建築をハウスメーカーなどから勧められているオーナーの疑問を元に解決ポイントを挙げ、@需要があるか否か、Aいくらの利回りが想定されるか、B資金はどうするか、C家族は賛成するか、D相続税の納税は可能か――の5点につき、「税金と手取り収入の推移」の例を挙げながら解説した。 また不動産経営の法人化が推奨される理由としては、@税制上の有利性、Aデフレによる手取り収入の減少、B融資に積極的になってきた金融機関の動向、Cサラリーマン家主の増加、D長寿化による法人経営の有利性、E法人の生保有利性、F自計化による税理士報酬の軽減、G最低資本金の廃止による法人設立の容易性、H会社のオーナーになることの汎用性――などを挙げた。そのうえで、オーナーの年齢や対象物件の種類、また簿価が借入金より少ないケースなどで税理士は注意をようすると指摘した。 さらに不動産投資については、相続対策としての投資をするケースとして、@土地活用をする不動産は所有していないが、金融資産がかなりあるケース、A土地はかなりあるが、土地活用には適していないケース、B所有地はすべて土地活用済みであるが、それでもまだかなり相続税がかかるケース、C相続はまだかなり先であるが、それまでに相続人分の不動産を準備しておくケース――などを題材に、相続対策に適した不動産活用の要点を説明した。 最後に鹿谷氏は、土地活用、法人化、不動産投資の3つをミックスした実例を紹介。変額保険や生活資金不足などで問題が多くあったものの、個人による賃貸物件の建設、アパートの法人化、区分所有マンションの購入、一棟もののワンルームマンションの建設といった手法を駆使し、スムーズな相続ができた実例を紹介した。 |