改正保険業法は平成28年4月に施行される予定。そのため早ければ今年秋にも具体的な運用ガイドラインが提示される見通しだ。今回の改正では、保険代理店業務の態勢整備について規制強化が図られており、税理士業の一方で保険商品の紹介や保険代理店への顧客の紹介をしている税理士にとっては「非常に厳しい内容で、決して人ごとではない」という。 新制度では、「保険募集行為」を税理士が行うには、税理士業と保険募集業の2業務を完全に分離することが求められる。名刺、電話番号、看板もそれぞれ別に用意する必要があり、オフィスも完全に分けなければならない。吉田氏は「同じフロアに配置する場合は衝立などではダメで、天井から床まで完全に遮蔽しなければ分離と見なされない」と、注意を述べた。 また、保険募集の際に取得した顧客の機微情報(保健医療情報や人種・信教など)が入ったパソコンを、税理士業にのみ携わる職員がアクセスできる状況に置くことも違反とされる。 特定の保険会社名や商品名を出して勧めることは保険募集行為と見なされ、逆に、@商品案内チラシの配布、Aコールセンターのオペレーターが行うような事務手続きについての説明、B一般的な保険制度の仕組みや活用法についての説明――などは規制に触れないのではないかという。 また、成約報酬を受け取ったり、インセンティブが発生したりするような契約は「募集規制に違反する可能性が高い」と注意を促した。 「フランチャイズなどの保険ショップや乗合代理店への規制を強化したい金融庁の思惑がある」という今回の改正は、基本的には保険代理店・保険会社がターゲットとなっている内容だが、その影響は税理士にまで及ぶものとなっている。保険業界との連携は税理士にとって業務拡大のチャンスだが、吉田氏は「だからこそ万全の対応で法改正に臨む必要がある」と、事前に準備を整えることへの重要性を訴えた。 |