資産税中心の税務・コンサルティングで高い手腕を発揮する税理士法人エーティーオー財産相談室代表社員の阿藤芳明税理士が「準備がなくても大丈夫!相続税務究極のポイント」と題して講演した。 阿藤芳明税理士は冒頭、「相続実務のポイント」のひとつとして、被相続人の意思を最大限尊重するのが大前提としながらも、自身の経験から「あとあとトラブルの原因になる」ことが多い「自筆遺言は可能な限り避ける(書かさない)ようにするべき」と述べ、「費用がかかっても公正証書遺言にするべき。顧問先が変なところでお金をケチろうとしたら、『必要なのはプロの知識とワザ。コストがかかるのは当たり前』ということを納得させるのも税理士の重要な仕事」と解説した。 また、「遺言に書いてあることを、書いてある通りに、スムースに処理していくため」には、「税理士が、必ず遺言執行者になるべきだ」と力説。顧問先(被相続人)と相続の事前対策をすすめていくなかで、必然的に「遺言執行者を誰にしようか」という話になるが、その際に税理士が「『ぜひ、私にやらせてください』などとは言い出しにくいかもしれない」とし、その場合には「遺言執行者はご長男(相続人)にしておいてください。ただ、お一人では心細いでしょうから、専門家である私も遺言執行者にしておいてください」などと、申し出るべきだと語った。「遺言執行者は何人いても構わないのだから、税理士は必ずその中のひとりになっておくべき」とし、「私も、ついでに、加えておいてください」というスタンスで充分だと解説した。 このほか、遺産分割協議を円滑にまとめていくためのコツを、実際にあったケースを例示しながら実務家の目線で解説。小規模宅地の評価減を効果的に活用する際のポイントや、「タワーマンション節税」の仕組みと活用方法など、実践的な相続税務についても語った。さらに、「節税よりも納税を考える」という観点から「何も準備をしていない場合、物納はほとんど不可能に近い」とし、このため税理士はプロの税務ナレッジを駆使して「顧問先には、代償分割を提案してみるべき。ただし、分割協議書に記載することを忘れると贈与税が発生してしまうので注意しなければいけない」などと解説した。 |