公益・一般法人制度の税務分野での第一人者として知られる中田公認会計士事務所の中田ちず子公認会計士・税理士が「制度改革で可能になった!社団法人を使った相続対策」の演題で講演した。 社会福祉法人、学校法人、NPO法人、医療法人、公益社団(財団)法人、宗教法人、地方公共団体などなど、非営利法人の幅は広い。特定の法人格の研究者はいても、すべての非営利法人を網羅する会計税務の実務家は少ない。中田ちず子公認会計士・税理士は、非営利法人の税務、会計、相続、事業承継など扱う、この分野の数少ないスペシャリストだ。 平成20年12月の公益法人改革で、営利活動が目的でも設立できる「一般社団法人」「一般財団法人」(一般法人)と、公益性の認定を受けて設立する「公益社団法人」「公益財団法人」(公益法人)が登場した。中田氏は、公益法人や一般法人は、定款などで出資者(社員)が残余財産の分配請求権または払戻請求権を行使できないと定められている「持ち分の定めのない法人」とされべきだと語った。「遺言執行者は何人いても構わないのだから、税理士は必ずその中のひとりになっておくべき」とし、「私も、ついでに、加えてることがポイントであると説明。 法人の含み益が出ても基本的に社員はそれを受け取れないことから、個人財産を親族が関わる法人に移行して保有する場合は、相続税の課税対象にならないと考えることができる。この仕組みについて中田氏は「必ずしも節税につながるとは言い切れないが、ケースによっては大きな効果が期待できる」として、活用法を解説。個人から持分の定めのない法人に寄付(贈与・遺贈)をした場合の相続・贈与の税務の原則や応用について、節税対策になり得るケースを挙げながら説明した。 一般社団法人と一般財団法人との比較では、組織構成に必要な最少人数や一般財団法人の「最低純資産規制」を踏まえ、「一般社団法人の方が運営しやすいと言える」と説明した。ただ、「一般財団法人と比べてオープンなことから、法人を親族以外に乗っ取られる可能性がより高い」といった注意を付け加えた。 |