11月7日、国税OBで資産税務のエキスパートとして高い手腕を発揮するさくら税務実務研究所の遠山敏之税理士は「遺贈」による所得税、贈与税、法人税の「トリプル課税対策」についての応用編として、どのような場合が課税となり、または非課税になるのか、その境界線について解説した。 個人が国または地方公共団体、公益法人に対して財産を遺贈し、国税庁長官の承認を受けた場合、みなし譲渡による所得が非課税になる。だが遠山氏は、「遺贈した土地、建物によっては、介護施設など公益事業に直接提供しなければならない規定があるため、みなし譲渡所得が課税扱いになる場合がある。遺言作成の以前に遺贈する不動産の見極めが大きなポイントになる」とアドバイスした。 また、同族会社で遺贈によって株式を無償取得できるのかどうかが問題になるが、遠山氏は「会社法では、株式を時価よりも高額で買い取ると問題があると明記されている。言い換えれば、時価よりも低額もしくは無償による取得が認められることを表している」との見解を述べた。 さらに税務上の扱いについては、「遺贈を受けた会社は、相手に渡す金銭がないとし、みなし配当が生じないと判断される。一方で譲渡者はみなし譲渡課税の対象となる」と説明した。 このほか、遺贈先が特定一般法人の場合や土地、建物の借地権を遺贈した場合の税務上の取り扱い方法について事例を織り交ぜながら紹介した。 |