資産税の税務を専門とする税理士法人タクトコンサルティングの太田裕二税理士が自社株評価の仕組みを紹介し、中小企業が行うべき自社株の贈与・相続対策を解説した。 一般的に評価が複雑な中小企業の非上場株式は売却が容易ではないと言われている。自社株が相続財産のうち高いウエートを占めている場合、自社株対策には苦慮している企業は少なくない。 太田氏は、「売りづらい、売れない」といった非上場株式のデメリットを挙げる一方で、@会社の支配権の獲得、A相続税と贈与税の猶予制度の使用、B相続税・贈与税の計算上、純資産価格より低い評価になる――といった3つのポイントを提示。株価の評価にあたっては、会社の従業員数、総資産価額、取引金額から「会社の規模」の判定を行い、該当する評価方式にそって株価を算出すると説明した。 同族企業などの中小企業は「類似業種比準価額と純資産価額の併用方式」を採用することが基本だとしたうえで、例えばオーナーが中規模会社と小規模会社を持っている場合、合併で会社の規模を大きくすれば、上場企業の株価を参考にして評価額を算出する類似業種比準価額の割合を増やして株価を下げられる可能性があると述べた。会社を継がない次男への対策については、「経営者の保有する株式の一部を議決権制限株式に転換し、後継者には議決権のある普通株式、次男には議決権のない株式を承継する」と紹介した。 |