相続・事業承継問題に詳しい高橋博税理士(高橋博税理士事務所代表)は冒頭、今年1月の相続税増税を契機として、顧問先の社長と保険加入の目的について膝をつき合わせて話し合うことを提案した。改めて顧問先の社長がどういう人生設計描きたいのかを見つめ直すことが大切だ」と話した。 そのように提案する理由は、高橋氏が以前勤めていた税理士事務所での経験に基づいている。「どうしても『相続税を低くしてくれ』という話が先行してしまう。以前勤めていた会計事務所は、相続税をタダにするスキームを考え出したが、国から脱税を指摘され、顧問先からは損害賠償で訴えられた。遺された人たちのことも含めてどのような人生を歩みたいのかという観点から相続を考えるべき」とアドバイスした。 また、高橋氏は顧問先への保険提案の方法について解説。「社長に万が一のことがあった場合、銀行は融資をしてくれないなど、資金がショートする可能性が出てくるので、借入金を支払えるお金を最低限用意しておくべき。これに加えて社員の給料や後継者が運営できるための資金などを用意する必要がある」と、会社の銀行借入金残高がいくらあるかを理解してもらった上で、必要保障額の提示をすべきとした。 このほか、広がりをみせつつある保険を使った租税回避行為について言及。法人向け生命保険商品を解約して戻ってきたお金を、所得から除外して法人税を脱税したとして名古屋国税局から告発された事例を取り上げ、「同じスキームを多くの保険会社で販売している。国の判断次第では脱税と判断されかねず、税理士も損害賠償になる可能性も否定できない」と注意を促した。 |