「社団法人×信託 究極の対策」と題した白井一馬税理士の連続講座はこれが3回目。「基礎編」(2月開催)、「応用編」(4月開催)に続くもので、今回の「徹底活用編」がこのテーマでの最終講座。過去2回、連続受講している参加者に加え、これまで聴講する機会に恵まれなかった全国の税理士が多数参加し、会場はほぼ満員の大盛況となった。 白井税理士は冒頭、「一般社団法人や信託は便利な制度だが、これらを使った“決定打”的な事例はいまだに少ないと言わざるを得ない状況」と述べ、社団と信託を組み合わせたかたちでの相続対策の“完全スキーム”は、まだ模索中の段階であるとする認識を示した。そこで、相続エキスパートとしての税理士がこれらの有効活用方法を検討する際には「積極的に利用するのではなく、社団や信託の仕組みで解決できる場面を探す」ことが肝要だと強調した。 社団法人に資産管理会社の機能を持たせて利用するケースでは、「全株式を移転するのはリスクが大きく危険。極端な節税対策に走るのではなく、ほかの手法と組み合わせて相続税対策を考えるのが基本だ」と語った。 信託については、民法上の契約は当事者の死亡によって終了するのに対し、「信託は委託者が死亡しても効果が続く」こと、「受託者の裁量で節税が可能である」ことなどを解説。「信託には、民法上の契約で可能となることの100倍の可能性がある」と述べ、さらに「一般社団法人と信託は組み合わせることでさらに価値が高まる」として、税理士による相続・事業承継対策への積極的な活用を呼びかけた。 |