エヌピー通信社は6月19日、東京・中央区でNPビジネスセミナー2015・相続実務基礎講座を開催した。本紙の姉妹紙『社長のミカタ』が5月28日発行の「6月号」で創刊5周年を迎えたことから、これを記念して同紙編集部と相続税務支援協会が主催したもの。記念セミナーには同紙の創刊からの読者である全国各地の中小企業経営者に加え、相続税務支援協会の正会員(税理士会員)・準会員(納税者会員)ら、約150人が参加し大盛況となった。 セミナーは連続2講座で、テーマは「不動産」と「生命保険」。不動産投資家専門の会計事務所として著名な叶温税理士事務所に所属する萱谷有香税理士・上級相続カウンセラーが「不動産を使った“大”相続税対策」、相続対策・事業承継分野のプロフェッショナルとして知られる税理士法人押田会計事務所の押田吉真代表社員税理士・行政書士が「生命保険で“超”有効な相続対策」と題して、それぞれ講演した。 萱谷税理士は自身の収益物件購入体験をも交え、不動産投資とそれに伴う税負担について詳細に解説。相続税対策として不動産活用を検討する前に「まずは現時点でどのくらいの相続税がかかるのかを把握する」ことが必要だとしたうえで、「年齢、家庭環境、仕事、健康状態なども考慮して、対策が必要であるかどうかを税理士などの専門家に相談」するべきだと強調した。その結果、不動産を購入する必要があると判断したら「物件取得前からできる節税対策を万全にしておく。そして物件保有中のキャッシュフローを向上させるための計画を立てておく。さらには、物件売却時や相続発生時の節税までをトータルで考えておく」ことが肝要だと説明した。 押田税理士は講演の冒頭、「相続“税”対策と相続対策は違うという認識で考える必要がある」とし、「中小企業経営者にとっての相続対策は、事業承継のことだけを考えていても不十分であり、相続に伴う税金対策のことだけでも不十分」と強調。事業承継・相続対策は「経営者にとって最大で、しかも最後のイベントといっても過言ではない」と、その重要性を語った。そのうえで、生命保険の活用について「生命保険は、“争族”対策にも納税資金対策にも使える。相続対策のすべてのシーンで活用できるオールマイティーなもの」と説明。「遺産分割協議がまとまるまでの生活費を確保したり、納税資金に充当させたりするだけの目的ではなく、贈与や遺贈などにも幅広く活用できる」と述べ、相続対策として有効な生命保険の活用方法について、さまざまなケースを想定して紹介した。 |