保険業務をめぐっては、昨年5月に顧客への情報提供や意向把握を義務付けた改正保険業法が施行され、税理士にもさまざまな影響を及ぼしている。高橋氏は紹介代理店として保険に関わる会計事務所が取るべき対応について、「実務上はほぼ変わらない」としつつも、「代理店手数料を50%以上取ってしまうと紹介代理店の域を超え、保険業法に抵触する可能性がある」と警鐘を鳴らした。 現在最も注目を集めている生保活用のスキームとして、解約返戻金の額が上がる直前で法人から個人に契約を移して資産を低額で譲渡する「低解約型逓増定期保険の名義変更プラン」を解説。同スキームについて「通達から言えば、完全にアウトとは言えない」としつつも、通達で認められていた解釈が最高裁で否認された判例を紹介して、「通達に従いさえすればセーフという保証はどこにもない」と注意を喚起した。その上で、否認リスクが比較的低いとされる、保険契約そのものではなく保険加入によって評価額の下がった自社株を後継者に贈与する手法を提示した。 高橋氏は、保険に強いとされる税理士でも見落としが多いポイントとして、契約後の保険のメンテナンスである「保全」を挙げた。顧問先の状況に合わせて契約内容を定期的に見直すのはもちろんのこと、誤った税務処理を長年続けてしまうと、気付いた時には顧問先の被る損害額が1億円を超えることもある。高橋氏は、税理士が顧客から損害賠償請求を求められる件数が増えていることを挙げ、「顧問先の信頼を得るために生保は非常に重要。だからこそ怖さもある」と語った。 |