近年、金融機関と手を組んだ他事務所や「更正の請求」を専門とする税理士による顧客へのアプローチが増加しているという。書面添付を通じて質の高い申告書を作成することは、他事務所との差別化を図れるだけでなく、顧客離れ防止の一手ともなると押田氏は語った。 実際に書面を作成するに当たって、氏が作成したサンプルを使いながら金融財産や預金、不動産など項目ごとに詳細にポイントを説明。また合わせて、「税理士としてはここまでは調べた」という限界を証明するためにも、顧客から確認書や宣言書などの一筆を取ることが有効だとした。押田氏は自身が過去に犯した失敗談なども交えながら、「そもそも税務調査が来ない申告書」の作り方を解説し、「相続税申告に不安を感じる納税者に安心を与えてほしい」と参加者に語りかけた。 その他、豊富な経験を基にした相続案件の獲得手法についても多数紹介した。本来一度かぎりのスポット案件である相続税業務を継続案件につなげるために、成年後見制度や家族信託といった相続と関わりの深い分野の知識を吸収することのほか、「被相続人の初盆にはスタッフ総出で全て顔を出し、親族の紹介につなげる」といった実用的なテクニックも明かした。最後は参加者との質疑が行われるなど、熱気にあふれた講座となった。 |