ふるさと納税の収入  寄附金あらため一般財源案

 財務省は10月4日、ふるさと納税制度によって寄付先の自治体が得る収入を「寄附金」扱いとしている現行の仕組みを変更するよう提案した。地方収入の不足分を国が補填するルールがあることから、ふるさと納税の利用増で減る地方税収の補填で、将来的に国費負担が増えることを懸念している。財務相の諮問機関である財政制度等審議会は提案を受け、一般財源への変更が将来的に論点になるとの見解を示した。
 ふるさと納税では、納税者が選んだ自治体に寄付した金額から自己負担額の2000円を除いた額が、住民税などから原則控除される。総務省によると2022年度の寄付金は前年度比約1.2倍の9654億円で、過去最高を3年連続で更新した。23年度の住民税控除額は6798億円あまりで、横浜市、名古屋市など大都市の税収に影響が出ている。
 地方財政計画では地方の財政規律と安定的な行政サービス維持のため、ある種のシーリングとして「一般財源総額実質同水準ルール」が設けられている。地方税収や地方交付税、臨時財政対策債などの総額を一定水準で維持し、不足があった場合は国と地方で折半しなければならない。
 しかし、ふるさと納税で自治体が受け入れる金額は税収ほど安定的でない寄附金扱いとされているため、この総額の対象に含まれず、一般財源は減ることになる。財務省側は「ふるさと納税はいわば住民税の取り合いだが、減収分の穴埋めを国がするのはおかしい」という問題意識で、寄附金収入ではなく一般財源に変更するよう提案した。
 審議会終了後に会見した財政制度分科会の増田寛也分科会長代理は「一般財源化もひとつの方向性として考えられる」と意見を述べた。ただ、国による穴埋めに関しては「将来的に想定されるかもしれないが、当面はなさそうだ」との見解も示しており、是正に向けた整理には時間がかかりそうだ。


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