10月1日にスタートしたインボイス(適格請求書)制度の発行事業者登録を取り消した事業者数が、2万1820件に達したことがわかった。制度の廃止を求める市民団体「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)が、国税庁の公表データを基に、毎月「登録取り下げ・失効件数」のデータを集計・分析した。
登録事業者の「登録取り下げ・失効件数」は、同会が統計を取り始めた2022年5月は170件で、その後10カ月は3桁台で推移してきたが、制度開始を半年前に控えた今年4月に1898件と4桁に上り、実施直前の9月単月では7837件と急増した。
このタイミングでの取り下げ・失効件数の急増について同会では、「発注側に頼まれて一旦は登録したものの『やっぱりやめよう』という思いや、『経過措置の間は様子を見てもいいのではないか』など、地に足のついた検討が広がっていったことで、特に免税事業者の間で課税期間が発生しないで済む9月末までに一旦取り下げようとの決断が多く出たのではないか」とコメントしている。
なお、「取り下げ・失効」については9月までしかできないが、9月末ギリギリでの取り下げ申請がかなり多かったことから、国税庁側で処理しきれていない分が存在するとみられている。同会では、10月末分のデータが出た時点で、改めて集計・分析するとしている。
今回の結果について、インボイス登録の「ボイコット大作戦」を提唱してきた神田知宜税理士は、「税制に関して、一度申請した登録を取り消す動きがこれだけ出るのは極めて異例のこと。先日提出した55万筆の反対署名とともに、政府は今回の結果を重く受け止め、今からでも遅くないので廃止の検討をすべきだ」と訴えた。