国税庁は10月12日、タワーマンションなどに適用する相続税の新たな算定ルールについての通達を発遣した。新ルールは来年1月以降に相続などで取得された物件から適用する。今回の通達は、高層マンションの相続税評価額と実勢価格の差を利用した『タワマン節税』を抑止するもので、今年7月に通達案を公表してパブリックコメントを募っていた。
国税庁が提示した新たなルールは、マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正して引き上げるというもの。築年数や所在階、総階数、専有面積などを基に一室ごとの評価額のかい離率を算出し、これに現行の相続税評価額や最低評価水準である「6割」を掛け合わせて最終的な評価額を割り出す。6割の基準は、一戸建て物件の実勢価格と評価額の平均かい離率(1.66倍)に合わせて設定された。新ルールによっておおむね、実勢価格と評価額が大きく離れていた物件では、実勢価格の6割まで評価額が上がる。過去の調査では、平均して実勢価格と評価額に3.16倍のかい離があったという。かい離率の高かった高層階ほど、これまでに比べて税負担が増えることとなる。
パブコメには102通の意見が寄せられた。例えば、今回の通達の適用範囲が区分所有マンションに限定され、いわゆる「一棟所有」には適用されない点が不公平との指摘があった。これに対して国税庁は、「本通達は、分譲マンションの流通性・市場性の高さに鑑み、その価格形成要因に着目して、売買実例価額に基づく評価方法を採用した」と答え、区分所有マンションに限定したことには合理性があるとしている。一方で、一棟所有についても「評価通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる場合には、引き続き評価通達6(いわゆる総則6項)により評価する」と釘を刺している。