年末の2024年度税制改正議論で、法人事業税のうち「外形標準課税」の課税基準見直しが議論される。「資本金1億円超」とする現行の基準に「資本金+資本剰余金」を加える総務省の検討会の追加基準案がたたき台となる。
外形標準課税は重要な地方財源の一つ。利益に応じた「所得割」と異なり、資本金や給与総額などに課税されるため、赤字でも税収が見込めるためだ。04年度に導入され、15、16年度に法人事業税に占める割合が段階的に引き上げられた。
22、23年度の与党税制改正大綱でも検討課題に挙げられ、総務省が22年度から有識者らによる検討会で課税基準について議論を重ねていた。今月14日には、第2回の中間整理を終え、追加基準案を「資本金と資本剰余金の合計額が一定水準を上回る法人」とした。
地方財政審議会(地財審)は追加基準を適当と判断し、鈴木淳司総務相に意見書を提出。検討会で座長を務めた小西砂千夫・地財審会長は、増税ではないことを強調しつつ、「規模が大きく、本来は納税するはずの企業を課税対象に戻す」と狙いを述べた。
総務省によると、外形標準課税の対象法人数は06年度の約3万社をピークに、20年度には約2万社に減少。累積赤字を補填するなどの目的ではなければ、資本金を1億円以下に減資する企業行動は、租税回避行為と見なされてもおかしくない。このため、自民党の宮沢洋一税制調査会長も「3割の大企業が減資をして中小企業になっているという事態はやはり相当問題が多い」と報道各社に問題意識を語っていた。
「実質的に大規模といえる法人」への課税強化は有権者の多くから賛同を得られるだろう。ただ、追加基準を判断するには「政府の経済施策や経済団体などの意見を踏まえた検討が必要」とし、線引きの議論の場は与党税制調査会に移された。地方の有力企業などへの影響も考えられるため、ある与党税調幹部は「議論は長引くだろう」と見通した。