大谷翔平選手が米大リーグのロサンゼルス・ドジャースと結んだ契約について、同球団が所在するカリフォルニア州の会計監査官が「税の公平な分配を妨げている」との声明を発表した。年俸の大部分を後払いにすることで税負担を減らせる現行制度を問題視し、連邦議会に対策を取るよう呼びかけている。
大谷選手がこのほどドジャースと結んだ総額7億ドルの契約は金額も異例だが、さらに話題を呼んだのが、その支払い方法だ。年俸のうち約97%を後払いにすることで、ドジャースは年俸総額に応じて課される「ぜいたく税」を軽減し、大谷選手自身も支払い開始前に別の低税率の州に転居することで所得税負担を抑えられる。
発表当初は米国内でも「節税面で優れている」と評価された今回の契約だが、それに「待った」をかけたのが、税収が減ることになるカリフォルニア州だ。同州の会計監査官マリア・コーエン氏は1月8日(日本時間9日)、『大谷選手の契約についての声明』と題した文章を発表し、「現行の税制では、最高税率にあたる幸運な人々に対して無制限の延期が許されており、税制において著しい不均衡が生まれている」と批判したとロサンゼルスタイムズ紙が報じた。
カリフォルニア州は米国内でも高い税率で知られ、もし大谷が11年目以降に他の州に移住した場合、失われる税収は約9800万ドル(約142億円)に上る。毎年、州に入らなくなる所得税の額は、21年の納税者の下位178万人分に相当するという。
コーエン氏はこうした振る舞いへの制限がないことが「所得の不平等を悪化させ税の公平な分配を妨げる」と指摘し、連邦議会に対し、不均衡の是正のため速やかに思い切った対策をとるよう求めた。