高まる政治不信  裏金議員は納税せよ

 自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡り、「裏金議員」たちの納税意識と一般納税者の常識との乖離がさらに顕著になってきた。政治不信が高まる中、政治資金収支報告書に未記載だった裏金に対して納税を求める声が広がっている。
 自民党の調査報告書では、2018~22年に派閥から還流されて不記載(一部は誤記載と主張)だった政治資金パーティー収入は計5億7949万円だった。還流を受けた議員らは、清和政策研究会(安倍派)79人、志帥会(二階派)6人の計85人に上った。不記載だった理由としては、秘書が事務所で現金保管し、必要に応じて会合費として支出していたからなどと説明している。
 立憲民主党の枝野幸男前代表は国会で「2年間報告がなかったお金を政治活動費と言われても、国民は納得できない」と追及。だが「裏金議員」の多くは、領収書や請求書が確認できたものに限り政治資金収支報告書を訂正して支出に計上したとし、会合には同僚議員やマスコミが出席していて非課税の「政治活動費」に該当すると主張している。
 政治団体は大学のサークルや自治会と同様に、主として非営利で活動する法人格のない団体に分類される。収益目的の事業を営んだ場合を除いて、法人税は原則非課税だ。
 しかし、政治家個人が資金を受領すると、「政治家個人の所得に当たる」とみなされるため、所得税法の課税対象となる。還流資金が、政治団体と議員個人のどちらに帰属するかによって課税の可否が決まることになる。還流資金が課税対象になる可能性はあり、「秘書が収支報告書に記載せずに資金を事務所の金庫で保管していた場合、還流資金は政治家個人の『雑所得』とみるのが自然だ」と税務調査の必要性を指摘する専門家もいる。
 また、与党内からも納税の必要性に言及する声が聞かれ、河野太郎デジタル相は、領収書がないものについて「仮に所得であったなら、加算税を付けて国に返納するなり、党を経由して国に返納するなりすることは一案だ」と述べている。
 国税当局が「裏金議員」の税務調査に乗り出すのかは不明だが、関係議員の処分の決定後、納税を巡る議論はピークを迎えそうだ。


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