国税庁はこのほど、税理士会などに対して「犯罪による収益の移転防止に関する法律第4条に基づく取引時確認義務の履行の徹底に関する周知」を依頼した。「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯収法)は、犯罪収益が組織犯罪を助長し、また事業活動に用いられることで健全な経済活動に重大な悪影響を与えることから、その移転防止を図る目的で制定されたもの。
税理士および税理士法人は犯収法により、税理士として行う特定の業務・取引について、その顧客の「本人確認をする義務」などが課されている。また犯収法では2024年4月1日以降、税理士・税理士法人に対して、「犯罪収益との関係が疑われる取引を所管行政庁に届け出ること」を義務付けている。
「疑わしい取引の届出制度」は、犯収法上の「特定事業者」(税理士・税理士法人など)が届け出た情報をマネーロンダリング事犯の捜査などに役立てるとともに、特定事業者のサービスが犯罪者に利用されることを防止し、特定事業者に対する信頼を確保することを目的とする制度。
国税庁ではこの届出制度に伴い、「税理士及び税理士法人におけるマネーロンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を策定。届出制度がスタートした24年4月1日に公表している。今回の周知依頼では、あらためてこのガイドラインについても触れている。