先端設備等導入計画  3カ月で1931件、年末に向けて申請増も

 中小企業庁はこのほど、中小企業等経営強化法に基づいて中小事業者が策定する「先端設備等導入計画」の6月30日時点での認定状況を公表した。4月からの3カ月間で1931件の計画が認定され、そのうち賃上げ方針の表明を伴う計画は1200件だった。制度が改正された2023年4月以降の1年間と比べると認定数の伸びが鈍化しているようにもみえるが、これから年末に向けて申請数が伸びる可能性は高い。
 計画の認定を受けた事業者は、設備投資にかかる税優遇を適用できる。以前までは要件を満たせば最低でも償却資産税の負担が3年間にわたって半分になり、さらに市町村の裁量で残りの2分の1も免除されるというものだった。しかし23年4月以降、原則として「償却資産税が3年間2分の1」に限定され、実質的に減税額が半分となった。
 しかしこれには例外があり、従業員に対して「賃上げ表明」を行い、賃上げ計画が自治体に認定されると、優遇幅が拡大されたうえで、優遇期間も延長される上乗せ措置が講じられている。具体的には、原則2分の1カットだった償却資産税が3分の2カットとなり、その恩恵を最大で5年間受けられるようになる。
 3カ月間での計画認定数1931件は、前年度の1年間分の1万1120件と比べると積み上げのペースが落ちていることが分かる。賃上げ方針の表明を伴う計画の数1200件も、前年度の6709件のペースに届いていない。対象となった設備の台数と金額の合計は、前年度1年間分が5万1904台で5801億円(うち賃上げ表明を伴う計画が2万6255台で約3616億円)だったのに対し、今年度の3カ月間の時点では5963台で826億円(同3967台で514億円)にとどまっている。
 ただし、この税優遇はこれまで、年末に駆け込みで手続きをするケースが多く“申請渋滞”が起きてきた。このため年末には、ほかの時期より認定が手間取ることも考えられ、最悪の場合、年内に認定が受けられず、設備投資計画そのものが来年に持ち越しになってしまう事態も考えられる。


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