老後の資産形成を助ける手法として注目を集めるiDeCo(確定拠出年金制度)。最大の特徴はなんといっても、掛金として払い込んだ全額が所得から控除されることだ。年金として積み立てた額がすべて控除されるのだから、年金の受給額を増やしながら節税できることになる。さらに積立金で得た配当や利子も非課税で、受給時にも手厚い税優遇が付いてくるというのだから嬉しい。
とはいえiDeCoにも様々なリスクやデメリットがある。まずiDeCoは年金制度といっても、実際にやることは投資に他ならない。大きく得をする可能性がある一方で、損をするリスクも存在するわけだ。老後のために積み立てたお金がなくなってしまう可能性もゼロではない。さらにiDeCoは、他の年金制度に加入しているかどうかで年間の拠出額の上限が変わり、また「加入できるのは65歳未満」という年齢上限が設けられている。
非課税の恩恵を受けて資産形成をするという点では「NISA」などと比較しやすいが、iDeCoによる投資は、あくまで老後の資産を積み立てるものであるという理由から、原則として60歳になるまで払出ができない。そして勘違いしやすいのが、iDeCoの投資で得た利益は、完全な非課税ではないという点だ。
iDeCoで儲けたお金には、税優遇はあっても必ず受取時に所得税がかかる。退職金として一度に受け取れば退職所得控除、年金として少しずつ受け取れば公的年金等控除という優遇は受けられるものの、所得税自体はかかるということだ。これはNISAが払出時にも非課税であることとは大きく異なるポイントだ。
もっとも、これらの注意点を踏まえてもiDeCoが老後の資産形成のために取れる有力な選択肢の一つであることは変わらない。各控除の枠を出ないよう受け取ることで課税を避けられることもあり、また掛金の控除と合わせればトータルで得をすることもあるため、自分にとってどうすれば得かを、しっかり検討して利用したい。