中小企業を対象とした退職金準備制度「中小企業退職金共済制度(中退共)」は、短期間で離職する社員ほど受け取る金額が少なくなるので注意しなければならない。勤務期間が2年未満の社員が中退共から受け取れる退職金は掛金を下回ることになる。
まず、掛金の納付期間が1年未満の人には退職金が支給されない。また1年以上2年未満の人も、退職金は支給されるが掛金相当額を下回る。2年から3年半の人でも、掛金と退職金の額は同額にとどまる。厚生労働省の調べでは、新規採用した社員の3割は3年以内に離職するというが、それに該当する人は〝元本割れ〟してしまうということになる。
なお、中退共には費用の一部を国が助成する仕組みがある。新しく中退共に加入する事業主には、掛金月額の半額(従業員ごとの上限5千円)が加入後4カ月目から1年間、国から助成される。パートタイマーが掛金月額2千円~4千円で加入していれば、さらにそれぞれ300円~500円の助成金が上乗せされる。また加入済みの事業主も、掛金月額1万8千円以下の従業員の掛金を増額する際には、増額分の3分の1の金額を1年間受け取れる。