台風はあらゆる交通や流通をストップさせ、人の流れもモノの動きもすべて止めてしまう。自社の従業員に対しても同様で、一瞬の判断遅れで帰宅困難になってしまう場合もあるため、毎年台風のときは定時より早めに帰宅を促す企業も多い。
労働時間内に就労していなければ、基本的には「ノーワーク・ノーペイ」の原則にもとづき給料を支払う必要はない。だが早退が会社の指示によるものであれば「会社都合」となり、平均賃金の60%を休業手当として補償する義務が生じる。では、例えば1日の所定労働時間が5時間の短時間労働者につき、台風のため4時間で帰宅させたとすると、1日の支払いはいくらになるか。
これは4時間分の正規の料金に加え、働けなかった1時間分の6割を足した額と考えがちだが、実は実働の4時間分だけの支払いでよい。60%というのは、あくまでも1日の平均賃金の6割という意味で、すでに4時間分(80%)が支給されているため、支払義務は満たしているからだ。
もちろん、これはあくまでも「会社都合」であることが条件で、従業員から「早く帰りたい」という申し出があれば「従業員都合」となり、会社に6割の補償義務はない。