得意先を接待して領収書をもらう。気持ちよく飲んでいたせいもあって滑舌が悪かったのだろうか。「宛名は上でいい」と言ったつもりが、翌日に財布に入った領収書を見ると、なんと宛名は「ウェデイ様」に……。
領収書とは会社がお金を支出した証拠であるため、税務調査で見られた際に、それが正しい内容であると証明できれば事足りる。証拠とするために必要な項目は、日付、金額、内容、相手の4つだ。そのため、領収書よりもレシートのほうが信頼性が高いと見られることは多く、必ずしも領収書に限る必要はない。紙切れに手書きされたものであっても、しっかりと説明できれば何ら問題はない。仮に宛名が「ウェデイ」や「ブランク」であっても、その裏に接待した相手や人数などをしっかり書いておけば基本的に認められないことはない。さらにいえば、領収書をもらえないケース、例えば香典や割り勘の飲み代などは、上記の4つの事項を自分でメモとして書いておけばよい。調査で税務署から疑われたとしても、ここまで証拠を残しておけば、それをウソだと税務署が証明するのは難しい。
ただ、正式な領収書ではなく何でもいいとなると、ただでさえインボイス制度によって手間が増えている中で、社内の経理担当の負担が重くなる。領収書の宛名などは税務署に向けた対策ではなく社内ルールとして定めておくべきではあるだろう。