期待はできない税金の時効最長7年  リスタートの時効中断、幕引きはない時効停止

 刑事事件の時効は、強制わいせつ等致死で30年、傷害致死で20年、業務上過失致死で10年など、罪状と刑罰の重さによって規定されている。さらに人を死亡させた犯罪のうち、殺人や強盗致死など法定刑の上限が死刑の犯罪については、2010年の法改正で時効がかからなくなっている。
 では納税義務にも時効はあるかというと、刑事事件と同様、時効までの期間が段階的に規定されている。所得税でいえば、期限内に申告していれば3年を経過すると国は税金を徴収する権利を失う。期限内に申告していなければ5年。贈与税の時効は基本6年。偽りや不正があるとき、また脱税に該当するときは、あらゆる税目の時効は一律7年となる。つまり税の時効の最長は7年だ。
 時効までのプロセスだが、漫然とカレンダーを眺めていればすんなりと時効が成立するというわけではない。基本的に時効までの期間内には必ず税務署から催促状が届き、6カ月以内に差し押さえがあれば時効は中断される。ここでいう「中断」とは、野球の試合が雨で一時中断するのとは違い、催促状の送付日から新たに時効までの期間がスタートする「リスタート」の意味を持つ。
 また、延滞していた本税を支払ったとしても、延滞税があれば時効は停止される。時効期間もリスタートせず、何年経過しても時効はなく、本人が死亡しても未納分は相続財産の対象になり、相続人に引き継がれる。さらに時効を意図的に狙って逃げたと判断されれば脱税とみなされ、刑罰の対象となり、加算税も課される。


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