国や自治体から交付された補助金は、会社の「益金」として、法人税の対象になる。たとえ100万円の補助金を受け取れたとしても全額は自由にできず、その一部はもとから税金として納める分が含まれている。
ただ、「新型の機械設備を買いたい」という目的で受け取った補助金にすぐに法人税がかかると、設備を買った後に手元に納税資金が残らず、経営が苦しくなってしまう。それでは中小企業を支援するという補助金の趣旨からして本末転倒になってしまうため、補助金で固定資産を取得したときには、税務上の特殊な処理を行うことが認められている。
具体的には、設備の取得価額から補助分を差し引いた額で資産計上できる。80万円の補助金を使って100万円の機械を買ったなら、固定資産としての取得価額はその差額である20万円となる。このような特殊な処理によって、投資した年度にかかる法人税負担を抑える処理を、会計用語で「圧縮記帳」という。補助金によって得た利益を実態より「圧縮」するわけだ。
しかし注意したいのは、この圧縮記帳はあくまで課税の繰り延べに過ぎず、税負担がトータルで減るわけではない点だ。取得価額が減るということは、つまり年々の減価償却で損金にできる額が減ることを意味する。つまり2年目以降は、圧縮記帳をしない場合より法人税負担が重くなってしまうのだ。トータルでみれば繰り延べをしてもしなくても法人税負担は同額となる。