▼今週の注目記事  社長のミカタ 5月号(通巻84号) 1面

上手に残して“争族”防ぐ
遺言書のトラブルを回避

遺言書を残す主な目的は、特定の財産を特定の誰かに残し、また相続人同士の争いを最小限にとどめることにあるが、現実には遺言書があってもトラブルに発展することがある。一部の相続人が不公平に感じる内容が記されているときのほか、書式に不備があるときも争いを招きかねない。財産を残す人の思いがきちんと相続人に伝わらず、裁判に発展することもある。遺言書を作成するうえでの注意点を整理しておきたい。


自筆遺言ではこんなミスに注意

平成14年5月に死亡した広島市の男性Aさんは、その16年前に「財産の大半を長男に残す」という内容の遺言を1枚の用紙に書き記していた。自筆証書遺言に法的効力を持たせるための条件である「全文の自書」、「作成年月日の記載」、「氏名の記載」、「押印」をクリアしたものだった。ただし、残された長男と長女がそれを発見したときには、文面全体の左上から右下にかけて赤色のボールペンで1本の斜線が引かれていた。

長女は、Aさんが斜線で遺言を取り消したと主張。これに対して長男は、斜線があっても遺言書に書かれた文字は判読できる状態であり、Aさんには遺言書を破棄する意思がな避遺言書のトラブルを上手に残して“争族”防ぐかったと反論した。裁判では1審、2審とも遺言内容を有効と判断。しかし最高裁第2小法廷は、文面に赤色のボールペンで斜線を引く行為について「その遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言のすべての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当」と判断し、平成27年11月に1審、2審の判決を覆した。

Aさんの事例のように、遺言書が争いの元になることがある。遺言書の基本を確認しておきたい。

遺言書には、全文を自分で書く「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」がある。公正証書遺言は専門家のチェックが入るので形式に不備が出ることはないが、自筆証書遺言は遺言者が気づかないミスが後々発覚するおそれがある。裁判で争われたのは自筆証書遺言の有効性だった。

裁判になったケースと同様に、遺言書を作成した後に気が変わり、書き込んだ内容を取り消したいと考えることがある。大きな変更があれば、一般的には作成済みの遺言書を破棄し、新たに別の遺言書を作成する。新しい遺言書には「○年○月○日付で作成した遺言書を次のとおり変更します」などの文言を盛り込み、変更後の内容を記載する。新たに作成しなくても、遺言書に加筆や訂正をすることも可能だ。民法の規定に則り、訂正したい箇所を二本線で消し、押印したうえ、訂正する文言を書き込んで署名する。

遺言書にまつわるミスには、自書や作成年月日の記載の不備がある。例えば日付をゴム印で押したり遺言書の一部の書類をパソコンで入力したものにしたりすると、自筆要件を満たさなくなるので法的効力がなくなる。作成年月日については、日付を確定できない「平成○年○月」や「平成○年○月吉日」といった記述は認められない。また、作成上の注意点とは別に、自筆証書遺言は遺言作成者が保管するため、紛失や家族による偽造のリスクが伴う。

これらのリスクは自筆証書遺言を残す人が負うもので・・・

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