▼今週の注目記事  社長のミカタ 6月号1面

「世代」「所得」間分断が加速
高齢者医療費「2割負担」 長生きは悪なのか

 75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げる法改正が進んでいる。団塊の世代が来年から後期高齢者となることで医療費の増大が想定されるなか、能力に応じた負担への見直しを進めるという。負担軽減となる現役世代からは一定の支持もみられるが、「余裕がある」として狙い撃ちされた高齢層からの反発は当然ながら強い。すでに3割負担の「現役並み所得層」も含め、世代や所得による社会の分断が加速している。法改正は今後の社会保障のあり方を左右しそうだ。

年収200万円が余裕層?

 75歳以上の医療費窓口負担は「現役並み」とされる収入383万円(世帯収入520万円)以上の人を除き、基本的に1割とされている。法改正により創設されるのは、単身で年収200万円以上、複数人世帯で320万円以上の負担を2割とする枠だ(図)。75歳以上の高齢者の20%超を占める約370万人を対象に見込んでいる。

 この負担引き上げによって、現役世代の負担が2022年度時点で約720億円軽減すると試算する。団塊の世代が後期高齢者となる来年以降、さらなる財源不足に頭を悩ませている健康保険組合連合会(健保連)は、「低所得者に配慮しつつ原則2割負担にすべきだ」と積極的に政府の新枠創設を支持している。他方、日本医師会は「新型コロナ禍での受診控えが加速しかねない」などと懸念を示す。

 新枠の線引きについて田村厚生労働大臣は、「年収200万円の世帯は年12万円の余裕がある」と衆院予算委員会で理解を求めた。年収200万円の単身世帯の平均支出は188万円であるため「黒字」だという厚労省の推計によるものだ。

 ただ、年金も減らされ続け、病気などの様々な事情を抱える多くの高齢者世帯の収入を単に「平均」で推し量ることに疑問の声も上がっている。東京・大田区で一人暮らしをする70代後半の女性は「生活を切り詰めているので多少なりとも貯金はできている。それを“余裕”だと言って、医療費としてふんだくるなんてあまりにひどい。政府は死ぬまでに2千万円必要とか言っていたのに」と不満をもらす。年収200万円を「余裕層」とみるのは世間的にも無理がありそうだ。

 だが、新枠創設についての賛否は分かれている。日本経済新聞社が19年に実施した世論調査によると、一定所得層の2割化に「賛成」と答えた人は52%に上り「反対」の41%を上回った。年代別では70歳以上で反対が半数を上回ったものの、70歳未満では賛成が上回り、世代が若いほど賛成が多い傾向がみられる。新枠創設が世代間の分断を浮き彫りにした格好だ・・・

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