▼今週の注目記事  税新1857号 1面より

リスクが顕在化
デジタル遺産にご用心

 暗号資産やネット銀行の預金などの「デジタル遺産」の相続リスクが顕在化している。不動産や一般の銀行預金といった財産と違い、デジタル遺産の把握は容易ではなく、相続税の申告期限まで存在に気づかないというおそれもある。延滞税や税務調査の端緒につながるケースもあるため、関与先のデジタル遺産には注意しなければならない。

申告期限に間に合わないことも…

 相続人の4人に3人がデジタル遺産を引き継いでいるという。GOODREIによるアンケート調査によると、過去5年で相続を経験したひとのなかで、「デジタル金融資産」を親族から引き継いだひとは73%にのぼる。被相続人の年齢が低いほどその割合は高まるため、世代交代が進む今後は、さらに多くのひとがデジタル遺産を相続する時代になることが見込まれている。

 暗号資産やネット銀行の預金、ネット証券、電子マネーなどのデジタル資産の最大の特徴は、その存在を示す実物≠ェないことにほかならない。そのことによって、自分の資産として所有しているうちはまだよいが、遺産となって相続人の手にわたる段階で問題が表面化する。通帳で管理している現預金や土地・建物といった不動産などのアナログ遺産は現物や登記、通帳などがあるので把握しやすいのに対し、デジタル遺産は存在に気づくのが容易ではない。

 そのため、相続までに時間がかかってしまうケースが珍しくない。冒頭の調査によると、デジタル遺産の相続を終えるまでに10カ月以上を要した相続人が5%も存在したという。デジタル遺産の金額は1千万円以上3千万円未満が34%、3千万円以上が19%だったというから、それだけで基礎控除を超えるひとも少なくないとみられるが、申告が間に合わないおそれがあるわけだ。

 相続税の申告期限を超過してしまえば税負担の増加につながる。仮に申告期限の前に遺産分割協議が成立して申告を終えたとしても、後に別の財産が見つかれば、協議や申告をやり直す羽目になる。さらに、デジタル遺産の申告漏れが発覚した場合、それを端緒に税務調査が行われる可能性もゼロではない。デジタル遺産だけではなく、本来であれば目にとまらなかった資産にまで調査官が踏み込んでくることは十分に考えられる。

 気づかないうちに損失を被るケースもある。ネット上での取引で保有していた有価証券の存在に、相続人が気づかないまま評価額が大きく変動し、相続税の負担が重くなるというケースだ・・・(この先は紙面で…)

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