日本の企業の決算月は3月が最も多く、9月、12月と続く。これからの時期の税理士事務所は、この9月決算法人の申告や12月決算法人への節税策の提案に追われることになる。さらに今年最後の山場として待ち受けるのが年末調整業務だ。
それだけではない。社長や個人事業主という「個人」の節税に関する助言もこれからの時期に欠かせない。経営者に日ごろから経営にまつわる話はしていても、個人の資産に関するアドバイスは不十分というケースが散見する。本格的な繁忙期に突入する前に、顧客である個人の税負担を軽減する方法を探っておきたい。もちろん、税理士自身の個人の節税も同様だ。
個人事業主の節税策としては、小規模企業共済への加入を考えない手はない。最大で年間84万円の掛け金が所得から控除できるため節税効果は小さくない。また、リタイアする際に受け取れる共済金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象なので税負担が少なくて済む。不動産賃貸業を営んでいる個人でも「事業的規模」であることなどの条件を満たせば加入できるので、それを念頭に置いた助言が求められる。
固定資産の修繕も定番の節税策といえるだろう。賃貸用アパートや工業用機械などの事業用固定資産の修繕を検討している個人事業主には、年内に修繕費を支出するか否かの確認が不可欠といえる。
注意しなければならないのは、資産価値の向上を目的にした修繕とみなされると、一括で経費処理できない資本的支出として計上しなければならないことだろう。もちろん、地震や豪雨で社屋などの資産に被害を受けた事業者が、被災前の状態に戻すために支出した金額は、全額を修繕費としてその年の経費にできる。一方で、現時点では被害を受けていない資産について補強工事をすると、原状より価値を高めるための費用として資本的支出に該当してしまうことがある。この区分は納税者と国税当局との間で争いになりやすいため、税理士による的確なアドバイスが求められている・・・(この先は紙面で…)
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