▼今週の注目記事  税新1802号 1面より

決算間近の
役員退職金節税法

 多くの顧問先の決算月である3月がやってきた。今年度は突発的な臨時収入があったため、急いで何らかの手を打たないと法人税が恐ろしい額になってしまう―。そのような時に、まとまった額を損金に算入できる手段の一つとして「役員退職金」がある。だが当局は役員退職金を利益調整の手段とすることを嫌うため、通達などによって厳しい要件が課されている。役員退職金が損金と認められるポイントはどこか探ってみる。

突発的な黒字を消したい!

 商品の売上が何かのきっかけで急増したり、あるいは所有する不動産が高値で売却できたりと、様々な理由で顧問先に予期せぬ多額の収入が生まれることがある。収入自体はもちろんうれしいが、それによって生じる法人税負担のことを考えると、喜んでばかりもいられない。繰り越している赤字があれば相殺できるが、欠損金と相殺してもまだ利益が残っているなら、税負担を抑えるべく何らかの対策を考える必要がある。

 まとまった支出をいっときに生み出す手段の一つが「役員退職金」だ。顧問先の中には高額な退職金の原資を捻出するため、生命保険の支給時期を役員の退職時期と合わせていることもあるだろう。言い換えれば、これは生命保険金という利益を退職金という損金で相殺しているわけだ。

 もちろん突発的な黒字を消すためだけに、役員を辞めさせるという決断をするのは早計だ。とはいえ、そうした事態に備えて、多くの役員や顧問をあえて置いているという顧問先もあるのではないだろうか。

 役員退職金については、損金に算入するために2種類の方法が認められている。その年に退職金を全額支払う「一括支給」と、総額は決定するものの、実際の支払いは長期間にわたって行う「分割支給」だ。このうち一括支給については当然、その年の損金に算入するが、分割支給についても、実際に支払う年だけでなく支給を決めた初年度に全額を算入することが認められている。つまり突発的な黒字が発生したものの手元資金はさほど残っていないときや、資金はあるが他の用途に充てたいというケースでは、分割支給を採用して全額をその年の損金に算入した上で、役員にはそれまでの月給と同額の「退職金」を月々渡していくという方法も採れるわけだ。役員本人にしてみれば、引退したとしても、これまでと同じ額を退職金としてもらえるので生活の不安はなく、会社にとっては突発的な黒字を消して税負担を抑えることができる。これが役員退職金を使った黒字相殺の一つのパターンといえる。

 注意したいポイントとして、役員退職金の分割支給を損金にするためには、ある前提を満たしていなくてはならないことがある。それは退職する役員が「分掌変更」ではなく、完全なる「引退」でなくてはならないという点だ。

 役員への退職金というのは、完全なる退職だけでなく、社長から会長、会長から相談役といった分掌変更に対しても支給することは当然可能だ。そして、きちんと勤務実態が変わるなどの分掌変更の実態があれば、条件付きで損金に算入もできる。その条件とは、退職金の支給が一括でなくてはならないということだ・・・

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