オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
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税務調査は、マルサ以外の国税局や税務署が行う「任意調査」と、マルサの「強制調査」に分かれる。任意調査は、適正な課税を行うために必要な資料を収集するために行われ、質問検査権という権限に基づいて行われる行政手続きの一種だ。
一方、強制調査は、悪質な脱税者に対して実施され、その目的は検察官に告発して刑事訴追を求める点が大きく異なる。脱税者を明らかにし、証明するための証拠収集を行う強制調査は、形式的には行政手続きであるものの、その実質は刑事手続きに近い。裁判官から許可令状を得て、強制的に現場に踏み込み、必要とあらば身体検査令状も用いて、女性査察官が女性の下着の中まで捜索することも許される苛烈なものだ。かつて任意調査と強制調査は根拠法も別だったが、2017年度税制改正で、強制調査を規定していた国税犯則取締法は廃止され、任意調査と同じ国税通則法に統合された。
マルサのターゲットとなるのは、「国税に関する犯則事件」(国税通則法131条)だ。ここでいう「犯則」所得とは、一般的な税務調査で仮装・隠ぺい行為があった場合に課される重加算税の対象となる所得に近いが、意図的に行った期ズレや科目仮装などは含まれない。つまり、帳簿外の取引や架空経費の計上など、簿外資金が生じる所得を指している。
マルサでは、この簿外資金を「タマリ」と呼び、非常に重視する。なぜかというと、マルサの税務調査は犯罪調査であるため、刑事が行う犯罪捜査と同様に、脱税をした証拠が必須なためだ。加えて、プールしたお金があれば、そのお金を差し押さえて脱税した金額を確実に納税させることが見込める。そのため、マルサはタマリがあることを、調査に着手する上での重要な基準としている・・・(この先は紙面で…)