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近々に公表される2026年度の与党税制改正大綱に、不動産を利用した相続税対策を抑制する見直しを盛り込む検討が進んでいると複数メディアが報じた。現金を投資用不動産などに換えて相続することで相続税額を抑える手法を問題視しているという。
具体的な見直しの内容については検討中だが、現在浮上しているのは、現行制度では相続税路線価で評価している不動産を、購入時の価格を基準とするよう見直す内容。購入後の価格変動などを加味し、税額を算出する。あくまでも相続税対策としての不動産購入を規制する目的であるため、相続発生前5年以内に購入した賃貸物件に限定するという。また、高額物件を細かく分けて投資商品として売り出す「不動産小口化商品」についても、評価基準を見直す方針だ。
現行の評価方法では、土地は路線価、建物は固定資産税評価額を基に算出される。これらの評価額は、一般的に市場での売買価格である時価よりも大幅に低く設定されており、都市部の不動産では、時価の半額以下となることも珍しくない。2億円の現金を不動産に換えるだけで評価額が1億円に圧縮され、相続税を大幅に減らすことが可能となっている。また、不動産が賃貸物件だった場合、貸家建付地や貸家として、評価はさらに減額され、この二重の評価減こそが、「相続税対策は不動産対策」という常識を支えてきた根拠だったわけだ。
しかし、こうした市場での売買価格と相続税評価額のかい離を利用した相続税対策が問題とされるケースが、近年増加していた。特に問題となっていたのが、高層マンションの低層階と高層階で眺望などを理由に価格差が生じるにもかかわらず、相続税評価額が等しいことを利用する、いわゆる「タワマン節税」だ。数億円に上る相続税を節税≠キるこの手法は、あくまでも合法の範囲内のスキームではあるものの、国税当局は「課税の公平性を損なう」と問題視し、否認する事例が複数発生していた。結局、2024年1月からは、タワマンの評価ルールそのものが見直され、かつてのような節税効果は得られなくなっているが、それでも、現金を不動産に換える旨味自体は変わっていない。今回の税制改正における見直しは、このタワマン節税の規制の網を、投資用不動産全体に広げるものといっていいだろう。
今回のルール変更が実現した場合、納税者が直面する問題は深刻だ・・・(この先は紙面で…)
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