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▼今週の注目記事  納税3675号1面

ほとんど使えない
負動産の所有放棄ルール

 全国で増え続ける所有者不明土地の問題を解消するために、政府は4月、相続登記に関する新法を成立させた。そのなかで不要な土地については一定の条件下で国庫への帰属を認めるという新制度を設けている。先祖代々の山林など使い道のない不動産に頭を悩ませる相続人は多く、新制度がそうした悩みの解決法になることが期待される。しかし、制度の内容を見ると、その実用性はかなり低いと言わざるを得ないようだ。

新たに「国庫帰属」制度が創設

 「相続で田舎の山を2つもらったけど、何の使い道もなくて放置している。送電線が走ってるから電力会社が安くてもいいから買ってくれないかなと思っていたけど、そんな話もないね」

 岩手県で工務店を営む男性は、あきらめた表情でそう語る。父親が亡くなった時は実家を離れて東京に住んでいたこともあり、不動産の内容を特に深く考えもせず相続をしたという。諸々の処理が落ち着いてから改めて山の処分方法を模索したが、買い手が見つかることもなく、「ただ毎年固定資産税を払っているだけの、典型的な負動産≠セ」と自嘲するしかない。

 この男性に限らず、親などから相続で土地を引き継いだものの利用の当てがなく、売り手も見つからないという悩みを持つ人は多い。この男性は登記をして税金も納めているが、両方を怠っているケースも多く、それが全国での所有者不明土地の増加となって表れている。

 所有者不明土地が増える主な理由は、相続時の未登記だ。これまで相続登記は任意で、登記を行うかは相続人の判断に委ねられていたため、相続人が固定資産税などの税負担を避けたり、土地管理の煩わしさから放置したりするケースが多く生じていた。相続登記が行われなければ登記簿上の名義は死亡者のままとなり、そのまま放置され続けて世代交代が進めば、法定相続人はねずみ算式に増えてしまう。民間有識者の研究会によれば、所有者台帳から現在の持ち主をすぐに特定できない土地は全国で約410万ヘクタールに上り、対策を講じなければ20年後には北海道本島(約780万ヘクタール)に達するという。

 国はこうした現状を問題視し、今年4月に、相続した不動産の登記にかかる改正法を成立させた。改正法では、相続による取得を知ってから3年以内の登記申請を義務付け、正当な理由なく怠った時には10万円以下の過料を科す。それでも10年間届出がなければ、法定割合で分割したとみなすものだ・・・

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