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▼今週の注目記事  納税3649号1面

税制改正大綱
中小企業再編統合へ

 2021年度の税制改正に向けた議論が進んでいる。コロナ禍で多くの事業者が経営難にあえぐなか、菅政権が改正の柱に掲げるのが中小企業の生産性向上だ。限られた経営資源を集約化≠ウせることで生産性の向上が見込めるというが、それが意味するものは現在約360万社ある中小企業の数減らしに過ぎない。その証拠に、税制改正で検討されているテーマには事業譲渡を促すものがズラリと並んでいる。

事業譲渡を促す内容ズラリ

 政府、与党は年末までにまとめる2021年度税制改正大綱に、M&A(企業の買収・合併)の買い手企業が事業統合に備えて積み立てた資金を費用とみなして法人税を猶予する仕組みを盛り込む方向で調整を始めた。企業買収時の負担を軽減することで、M&Aを決断しやすくすることが狙いだ。M&Aを実行する際には、買い手の企業には買収資金が必要になることに加えて、買収後の社員流出防止のための人件費が膨らんだり、新たな設備投資が必要になったりするなど、想定外の支出が必要となることがある。この点を踏まえ、検討中の新制度では、想定外の支出に備えた「準備金」を積み立てると、これを税務上の損金に算入できるようにする。その後、一定期間を経過してから益金として数年かけて均等に納税する仕組みだ。買い手側企業からすれば、手元資金が薄くなるタイミングの税負担を軽減することが可能となる。

 また政府は、「自社株M&A」に対する税優遇を拡充する方向でも検討を進めている。自社株M&Aとは、事業の売買の際に、買う側が現金ではなく自社株を売る側に渡す手法だ。手元に現金がなくても買収を行えるため、資金に余裕はないが将来性のあるベンチャー企業や、大企業の子会社などがM&Aをしやすくなるという特徴がある。ただしこれまでは、株式を受け取った側に譲渡益に所得税が課されるため、M&Aを尻込みさせる要因となっていた。譲渡益に対する課税を繰り延べる特例が18年度に創設されたが、特例を適用するためには一定の要件を満たし、産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」に該当する必要がある。これが自社株M&Aを検討する際のハードルとなるとして、21年度改正で要件自体を不要とすることを検討しているという。

 この2項目以外にも、今年の各省庁の税制改正要望には、中小企業のM&Aを促すメニューが数多く並んでいる。

 例えば金融庁は、租税特別措置として「第三者への事業承継に係る課税猶予措置」の新設を求めた。これは近年導入された事業承継税制のM&A版≠ニも呼ぶべきもので、後継者のいない経営者が他企業などに事業を譲渡した際に、受け継いだ自社株に課される譲渡所得税を猶予するという制度だ。金融庁は「新型コロナウイルス感染症の影響により自主廃業を迫られる中小企業も少なくないと考えられるなか、親族等の後継者が決まっていない場合の第三者への事業譲渡を支援する」と意義を説明している・・・

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