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自民党はガソリン税の旧暫定税率廃止に向けた与野党間の論点整理案をまとめた。その中で、代替財源として、租税特別措置(租特)の改廃、自動車関係税制の強化などとともに挙げられたのが、金融所得への課税強化だ。高市首相は、過去の総裁選出馬に当たっての公約で金融所得課税の強化を訴えていることから、今回の代替財源案についても、首相の主張が反映されているとみられる。
金融所得への課税強化をめぐっては、いわゆる「1億円の壁」解消を求める声が、かねてより根強い。「1億円の壁」とは、金融所得と他の所得の税率差が生む現象のことを指す。
給与所得や事業所得などは、すべてを合算した上で所得に応じて最高55%(住民税含む)の税率が課される累進課税制度をとっている。しかし株式から得られる配当所得や株式を売却した譲渡所得については、それ以外の所得から切り離され、所得にかかわらず一律約20%が課される分離課税制度の対象だ。そのため、所得の多いひとほど全体に占める金融所得の割合が増える傾向にあり、税の負担割合が所得1億円を超えるあたりから軽くなっていくという現象が起きる。これが「1億円の壁」だ。
年間所得に占める所得税額の割合、つまり所得階層別の税負担割合では、所得100万円以下の層の負担率は1.2%と極めて小さい。それが数百万円上がるごとに負担割合も倍々ゲームで増えていき、所得1千万円を超えた時点で、所得に占める税金の割合は15.0%と2桁の大台に乗る。その後も負担割合は増していき、2千万円超で22.6%、5千万円超で26.3%とピークを迎える。そしてここで「1億円の壁」に突き当たる。所得税の累進税率が所得4千万円を超えたところで55%(住民税含む)と頭打ちになる一方で、金融所得の税率は一律約20%で済むためだ。その結果、所得1億円超の層の負担割合は22.5%に一気に下がる。その後、所得が増えるほど所得税の負担割合は低くなり、50億円超では15%程度にまで下がるといわれる。この構図から分かるのは、1億円の壁の存在によって最も割を食っているのが、中小企業経営者などの所得数千万円の層ということだ・・・(この先は紙面で…)
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