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▼今週の注目記事  納税3869号1面より

相続税の税務調査
申告漏れの定番はコレ!

 国税当局が2023事務年度(2023年7月〜24年6月)に実施した相続税の実地調査8556件のうち、申告漏れなどの非違が指摘された件数は8割超の7200件に上る。相続税申告の8割超に税理士が関与しているにもかかわらず、申告漏れがこれほど発生するのは、相続税の申告は専門家にとっても難しい手続きであり、また相続人が気付かなかった相続財産が後から出てくることがあるためだ。

「お咎めなし」はわずか15.8%

 相続に関する手続きでは、さまざまな特例の適用可否や財産評価など、対応しなければならない項目が多岐にわたる。税理士であっても苦手意識を持つ人は多く、経験が浅い税理士が関わった結果、調査で問題を指摘されることも少なくない。専門家ではない相続人が独力で申告すればなおさらだろう。税理士の手を借りずに申告をする納税者も一定数おり、「国税庁実績評価書」によれば、2023事務年度の相続税申告への税理士関与割合は86.3%となっている。

 相続税関連のミスを防ぐには、申告漏れが発生しやすいポイントを確認するのが近道だ。申告漏れ財産の代表格には、口座名義人と実際の所有者が異なる「名義預金」が挙げられる。被相続人が生前に通帳を管理し、入出金をしていたのであれば、たとえ家族名義の口座でも名義預金と認定され、相続税の課税対象になる。毎年の相続税調査でも、多くの相続人が名義預金を指摘され、追徴課税を受けている。過去にあった事例では、被相続人が生前にお金を振り込んでいた家族名義の預金を相続人が申告しなかったところ、実質的な口座所有者は被相続人であると税務署に指摘され、さらに現金を生前に手渡ししていたことも発覚。2億9千万円もの申告漏れを認定されたケースがあった。「現金や家族名義の預金は、申告しなければ税務署に分からない」と考える人は多いが、当局は資産の移し替えを徹底的に調べ上げ、丸裸にする。当人に隠すつもりがなくても、自分の財産だと思っていたものが名義預金とみなされ追徴課税を受けるおそれも否定できない・・・(この先は紙面で…)

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