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▼今週の注目記事  納税3837号1面より

岸田政権の3年間
ステルス増税と定額減税

 岸田文雄首相が自民党の総裁選に出馬せず退陣する考えを明らかにした。岸田首相の党総裁任期は9月末まで。新総裁選出後に退任することになる。新聞各紙やテレビの報道は「ポスト岸田」レースの行方にシフトしているが、本紙は「税の専門新聞」としての視点から、岸田政権の約3年間を振り返る。【本紙編集部長・槌谷享信】

増税メガネ<Cメージ払拭できず

 2021年9月の自民党総裁選に勝利した岸田氏は10月4日、内閣総理大臣に就任。同月31日投開票の総選挙で自民党は公示前の276議席から261議席へと減らしたものの「絶対安定多数」を単独で確保。岸田政権は3年後の総裁任期満了まで盤石の安定政権≠ニみられるかたちでスタートした。

 22年12月8日に開かれた政府・与党政策懇談会では、防衛費増額の財源を確保するために増税を行う方針を示した。これに対し与党や閣内からも反対論が噴出したが、同月16日には「防衛力強化のための新たな国家安全保障戦略及び防衛力整備計画」が閣議決定され、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有が決まった。さらにアメリカ製のトマホークミサイルの配備を目指すことも決定された。

防衛費増税で支持率低下
少子化対策でも回復せず

 23年1月、岸田首相は年頭所感で「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明。年末に明らかとなった「防衛費増税」に対する批判が相次ぎ、支持率が低下した政権が急遽打ち出した感のある政策だった。

 同年6月には児童手当の所得制限を撤廃し、支給期間を高校生にまで延長することを決定。その一方で、扶養控除の廃止案が出るなどしたため、ここでも批判が相次いだ。

 また、岸田政権の主要政策として「防衛費の大幅な増額」「異次元の少子化対策」が明確になったことで、その財源を確保するには増税が必至との観測が強まった。このため同年8月ごろからはSNSなどで岸田首相を増税メガネ≠ニ表現する投稿が目立つようになった。

減税打ち出すも
裏金疑惑が浮上

 消費税のインボイス制度が導入され、本格的にスタートした同年10月、岸田首相は臨時国会で「物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていない」として、所得税減税を打ち出した。だが、消費税の減税については否定。物価高対策・生活サポートのための所得税減税であるとしつつも、その実施時期を「24年6月の予定」と発表したことから「遅すぎる」との批判を浴びた。政権は減税を打ち出すことによって支持率の回復を狙ったが完全に失敗。さらに、同年12月には自民党内派閥による政治資金パーティー収入の問題、いわゆる裏金疑惑≠ェ浮上。岸田首相は衆院の解散を見送った・・・(この先は紙面で…)

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