オーナー社長向け財務・税務専門新聞『納税通信』。
経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。専門記者による国税関連機関、税理士等への密着取材で培われた報道内容は、一般紙や経済・ビジネス雑誌では決して読むことはできません。
銀行から一時的にお金を借りて相続税の納税資金に充てるという手法自体は、決してマイナーではない。オーナー企業の経営権の源泉は自社株をいかに多く握っているかであり、事業承継でも最重要視されるのは自社株をどのように後継者に集約するかという点だ。自社株の相続にかかる税負担を実質免除できる「事業承継税制」があるものの、必ず適用できるとは限らず、かといって売却できる不動産が見当たらない場合など、借金をしてでも自社株には手を付けたくないと思うのはうなずける。
実際にそういったニーズを受けて、多くの金融機関が相続税の納税資金ローンを用意している。例えば三井住友銀行は有担保型のフリーローンとして最大1億円の融資枠を設け、用途のひとつに「相続税支払資金」を挙げているし、横浜銀行は「大型フリーローン相続関連資金」として最大3億円の融資を受け付けている(3億円超の融資については別途相談)。ほかにも専用のローンを設けている金融機関は多く、相続税の納税資金が融資を受ける目的のひとつになっていることがうかがえる。もしも納税資金に困っているのなら、こうした融資の利用が選択肢のひとつとなるだろう。
しかしここで、もうひとつの選択肢も考えてみたい。税金を一括で納付することが難しい場合に、複数回に分けて納める「延納」だ。
延納は、相続税額が10万円を超え、金銭で納付するのが難しい事情がある場合に、担保の提供を条件として、年賦での納付を認める制度だ。完済するまでは、国の定めた利率による利息の支払いが必要となる。
複数年をかけて分割して相続税を納付し、さらに利息がかかるという点で、銀行から融資を受けての納税と延納は共通している。では、もし実際に納税資金が足りないとなった場合には、どちらを選べばいいのだろうか・・・(この先は紙面で…)