▼今週の注目記事  税新1826号 1面より

年間3千事務所が対象
税理士調査に備える

 国税当局の担当者が税理士事務所に訪れて行う「税理士法に基づく税理士等に対する調査」(税理士調査)が、6年ぶりに年間3千件を超えた。コロナ禍には税務調査と同様に件数が大幅に減少したものの、徐々に元のペースを取り戻し、令和5年度にはコロナ禍以上に当局が調査に踏み切っているかたちだ。税務調査とは異なり、国税当局に疑われていなくても対象になる可能性がある税理士調査に備え、事務所の態勢を整えておきたい。

直近10年で最多の件数

 税理士調査は、税理士法違反の有無を確認するために国税当局が税理士事務所に赴き、業務内容を調べるもの。通常は税務署の総務課の職員が担当するが、違反の疑いが強い事務所には国税局等の「税理士専門官」が訪れるとされる。専門官が調査する場合は特に懲戒処分を見据えている可能性を考えておかなければならない。

 財務省が10月31日に公表した「国税庁実績評価書」によると、税理士調査は令和5事務年度に3210件実施された。直近10年でみると、コロナ禍前は毎年3千件前後で推移していたが、行政全体が対面の機会を避けていたコロナ禍に一気に減少して、令和2年度には2千件を切っていた。その後は3年連続で増え、5年度にはコロナ禍前よりも多くの税理士事務所が調査対象になっている。

 税理士事務所は3万事務所以上あるとされる。つまり単純計算で10年に1回の頻度で調査の対象になり得るわけだ。たとえ税理士法違反の疑いが全くないような事務所でも調査対象になることを覚悟しなければならず、どの税理士にとっても他人事ではない。

 調査対象の選定の際には、業務状況の情報をまとめた資料が活用される。そこには「想定される違反行為」が記されていて、脱税相談、不真正税務代理書類の作成、自己脱税・申告漏れ、名義貸し、税務調査の妨害、業務懈怠、監督義務違反、添付書類の虚偽記載などの悪質な法違反がある場合にはターゲット候補の筆頭になる。

 また懲戒処分による業務停止期間中や処分後の業務再開の際には狙われやすい。過去の指導内容について改善状況を確認する必要があると判断された場合にも調査対象となる。

 業務運営や内部管理体制に不備がありそうな事務所も同様だ。在宅勤務が一般的になったコロナ禍以降は、登録した事務所以外の場所を税理士事務所とする「二カ所事務所」の状態になっていないかどうかを以前よりも厳しくチェックされるようになった。事務所の看板を複数の建物で掲示することはなく、登録した場所だけが税理士事務所という前提で業務をしなければならない。

 そして、税理士調査を長年受けていない「長期未接触者」も調査対象の候補に挙げられる。やましいことがまったくなくても国税当局の職員が訪れて来て、ちょっとした不備を突かれるおそれはあるので、万全の態勢を整えておく必要がある。

 当日に必ず見られる項目は、税理士法第41条に定められた「税理士業務処理簿」の整備の有無だ。処理簿には、税務代理、税務書類作成、税務相談の内容や対応の経緯を記さなければならない・・・(この先は紙面で…)

購読のお申込みはこちらから>>

▼連載ラインナップ
超人気コラム
 「税界羅針盤」 関根稔
日本一保険に詳しい税理士が教える
 「生命保険活用術」 高橋博
税界の今を切り取るオピニオン
 「税論卓説」 岡田俊明監修
新時代の顧問先強化
 「NPO法人の活用」 金子尚弘
一般紙では書けない銀行対策
 「資金繰り支援の秘訣」 上田真一
中小企業向けに絞ってお届け
 「オススメ助成金情報」 川澄佳美



会計事務所のための広報・PRお役立ちコーナー







↓↓↓ 前回の結果 ↓↓↓

   ▲このページのTOPへ