▼今週の注目記事  社長のミカタ 3月号1面より

サデジタル社会の新たな資産
暗号資産は差し押さえ不可能

 2008年にビットコインが誕生して以来、暗号資産は新時代の資産として市民権を得た。現在では多くの人が暗号資産取引を行っている。しかし法的な位置付けが完全に定まったとはいえず、さまざまな問題をはらんでいるのが実情だ。その1つとして、暗号資産は換金可能な資産≠ナあるにもかかわらず、当局による差し押さえの対象にはならないという現状がある。

来年の税制改正で見直し?

 ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、資金決済法2条14項で、こう定義されている。

@物品等・役務提供の代価の弁済として不特定の者に対して使用でき、かつ、不特定の者との間で購入・売却をすることができること。
A電子的に記録された財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができること。
B本邦通貨、外国通貨、通貨建資産及び電子決済手段に該当しないこと。

 2008年にビットコインが誕生して以来、急速に拡大した暗号資産市場だが、その成長に法整備が長く追い付いていなかった。そこで暗号資産の法的位置付けを明確化するよう求める声が高まり、16年にようやく法改正されたものだ。

 ただ、改正資金決済法が施行された今もなお、暗号資産をめぐる法制度にはあいまいな部分が多く残る。その代表的なものが、「差し押さえ対象としての暗号資産」だ。

 税金を期限までに納められず滞納すると、当局に資産を差し押さえられる。対象は現金から動産、無形資産、債権まで多岐にわたり、その手続きについては、差し押さえ可能な財産の種類から差し押さえ後の換金化の手順まで、法律で明確に定められている。個人ないし法人の財産を同意なく取り立てるものであるため、厳格な法的根拠に則って実行されるわけだ。

 だが、暗号資産は新しい種類の財産であるため、じつは差し押さえに関する法律が今もまだ整備されていない。

 23年に税務大学校で公表された「デジタル社会における新たな財産権に対する滞納処分」との論文によれば、「差押え後の暗号資産の取り立てに当たっては、暗号資産そのものの取立手続が整備されておらず、仮に取り立てが可能であったとしても、これを換金できる手続も整備されていないため、国が交換業者から暗号資産そのものを受け入れることはできない」と明言されている。

 ただ実務においては、暗号資産が差し押さえられるケースは少なくない。なぜかというと、暗号資産取引で使用するパスワードのようなものを指す「秘密鍵」を取引所が保管している場合、現行法でも差し押さえ手続きが可能なためだ・・・

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