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国税庁が1月31日に公表したデータによれば、海外の税務当局と金融口座情報を交換するCRS(共通報告基準)により、80カ国・地域から邦人・国内企業の口座情報245万5288件を入手したことが明らかとなった。金額では、個人口座約8.2兆円、法人口座約6.0兆円で、計約14.2兆円となる。
2018年に日本が参加したCRSは、国内の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みだ。例えば日本の銀行に口座を開設した非居住者の情報について国税庁がその国に提供し、逆に日本人が海外に開設した銀行口座の情報が、その国から国税庁に送られてくることになる。
今回発表された2023事務年度のデータでは、日本の居住者が海外に持つ金融口座情報を80の国・地域から入手した。地域別にみると、アジア・大洋州が約193万件で最も多く、欧州・NIS諸国が約31万件、北米・中南米約15万件、中東・アフリカ約6万件と続く。このなかには、英領バージン諸島、ケイマン諸島、シンガポールなど資産フライト先として有名な地域も多く含まれ、これらの場所にある海外資産は、口座残高の多少にかかわらず、すべて国税当局に筒抜けということになる。
CRSの特徴は、当局が何らかのアクションを起こさずとも自動的に情報が入ってくるという点だ。相手国当局への要請に基づく情報交換などに比べて、最低限のコストで富裕層の海外資産の情報を大量入手する仕組みが、当局にとってのCRSの最大のメリット≠ニなる・・・(この先は紙面で…)