▼今週の注目記事  税新1863号 1面より

ついにインボイス関連も
税賠事故が多発

 税理士職業賠償責任保険(税賠保険)の保険金支払件数と支払総額が過去最多を記録した。日税連保険サービスが「税制のさらなる複雑化」が背景にあると推測するように、制度改正の影響は実際に大きく、今回は初めてインボイス制度関連のミスが発生している。税賠事故の大半がうっかりミス≠ナあることも踏まえ、自分ごととして他事務所の失敗に向き合いたい。

1年で683件、支払総額30億円超

 日本税理士会連合会の最新の「税理士実態調査報告書」によると、納税者から損害賠償請求を受けた経験がある開業税理士は全体の6.9%だった(2024年時点)。最終的に賠償金を支払った割合は83.3%にもおよぶ。賠償を求められた所長は少数派とはいえ、自分の事務所がいつ同じ目にあうかは誰にもわからない。金銭や顧客からの信頼を失う問題だけに、無視するべきではない話だろう。

 税賠事故は増加の一途をたどっている。日税連保険サービスがこのほど発表した「税理士職業賠償責任保険 事故事例2025」によれば、2024年7月からの1年間で保険金支払いの対象となった税賠事故は683件で、支払金額の合計は30億3200万円に上る。ともに過去最多だった前年度から件数が50件(8%)、金額が6億6千万円(28%)も増加した。金額に関しては、前年度はゼロ件だった1億円以上の超高額案件が2件(合計3億3千万円)発生したことも影響しているという。

 税賠事故の件数と支払金額を毎年押し上げている税目が消費税だ。件数ベースでは297件で、全体(683件)の43.5%となっている。この圧倒的な件数が金額ベースでの数字の高さに直結し、支払総額は1年で11億5600万円、全体(30億3200万円)の38.1%を占める状況だ。1件当たりの損害額が高額になりやすい相続税の4億4900万円(49件)と贈与税の1億3400万円(25件)だけではなく、法人税の9億4200万円(190件)、所得税の2億7800万円(106件)なども大きく引き離している。

 消費税の税賠事故が多発する背景には、制度が年々複雑化している現実がある。ただでさえ本則課税制度と簡易課税制度の選択や、課税・不課税・非課税・免税などの課税区分、簡易課税の事業区分の選択など、税額を大きく左右する判断がさまざまな場面で求められてきたなかで、2年前からはインボイス制度に関する判断も必須になっている。日税連保険サービスが発表した最新事故事例にも、インボイス関係で賠償請求を受けたケースが初めて掲載されている。

 A税理士は23年11月、年内に事業を開始する依頼者から店舗を取得することを聞き、多額の設備投資があるため「適格請求書発行事業者」となれば消費税の還付を受けられると説明した。通常、課税事業者になって還付申告をするには「課税事業者選択届出書」を提出しなければならない・・・(この先は紙面で…)

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