コロナ禍の影響を受けた事業者の経営改善を支援する「事業再構築補助金」の第6次申請受付が、5月下旬から6月上旬に開始する。今回の公募では、要件の緩和や新枠創設により申請対象者が大幅に拡充された。これまでの申請要件では、コロナ禍前と比較した売上高の減少について、2020年4月以降に10%以上、同10月以降に5%以上が要件だったが、今回から10月以降の減少要件が撤廃された。つまり20年10月以降に業績が回復している企業でも、コロナ禍で売上高が10%以上減少した時期が一定期間あれば申請可能ということだ。
また、環境負荷低減などの取り組みに対し最大1.5億円を補助するとして新設された「グリーン成長枠」では、売上高減少要件を満たしていない企業でも申請可能となっている。さらにグリーン成長枠は、過去に事業再構築補助金を受けている事業者も申請可能だ。大盤振る舞いともいえる拡充で多くの注目を集めている。
ただし、同補助金の過去の採択率は、第1次公募が30.1%、第2次が36.3%、第3次が37.0%、第4次が37.9%で、平均して3割台にとどまっているのが現状だ。補助内容が拡充された分だけ、今回も同様に厳しい審査があると予想されている。
そして重要なことは、国は同補助金の申請にあたり税理士や中小企業診断士などの「認定経営革新等支援機関」とともに事業計画を策定するよう求めているのだが、全ての支援機関で税理士の採択率が最も低いという不名誉な現実があることだ。
認定支援機関別の応募件数は、直近で採択結果が公表されている第4回公募では、応募総数1万9673件のうち最多は「金融機関」の7656件で、次いで多いのは「税理士」「税理士法人」の4141件となっており、事業者の多くが顧問税理士を頼っている状況であることがうかがえる。だが肝心の採択率は34.3%と全支援機関中で最下位だ。税理士法人も38.3%と税理士に続いた。
中小企業庁による過去の「審査講評」によると、採択の成否を分けるポイントは、申請時に提出する事業計画書の数字について、「合理的に審査員へアピールできているか」にあるという。同補助金の申請に当たっては、新たに導入する設備・サービスの具体案や実施に向けたスケジュール、資金調達プランなどを示した事業計画書を、税理士などの経営革新等支援機関が関与した上で提出しなければならないが、これまで提出されてきた事業計画書について中小企業庁は、「合理的な数字の裏付けがない案件が8割ほど占めていた」ことを、不採択の原因の一つに挙げている。さらに合理的な数字の裏付けがない事業計画書の例として、「顧客規模の想定が算出されていない」、「新事業の費用対効果がわからない」などとしている・・・
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