▼今週の注目記事  税新1856号 1面より

高まる見直し論
税理士法人 無限連帯責任のリスク

 創設から四半世紀が経とうとしている税理士法人制度について、見直しを求める声が徐々に高まってきた。特に「無限連帯責任制度」については、問題点として挙げられる機会が増している。組織の大規模化や税制の複雑化・高度化が進んだことでひずみが広がり、そのリスクは税理士法人制度の創設時には想定されていなかったレベルにまでなっている。

社員就任を躊躇する資格者も

 東京税理士政治連盟は8月27日、税理士法人の無限連帯責任制度の問題点をテーマに「税理士法人制度シンポジウム」を開催した(写真、関連記事2面)。その注目度は高く、会場の衆議院第一議員会館(東京・千代田区)には240人以上の税理士が集った。

 税理士法人が顧客に損害を与えて賠償請求を受け、法人の財産で債務を完済できない場合などには、すべての社員税理士が連帯して賠償金を支払う義務を負う。この無限連帯責任制度は主に納税者保護の観点から設けられたものだが、税理士法人に所属する税理士にとっては重大なリスクとなる。万が一≠ェ発生した場合に個人として背負いきれないと判断する税理士は多く、実際、社員税理士になることをためらうケースが頻繁に発生している。

 シンポジウムで講演した辻・本郷税理士法人の木村信夫副理事長も、その点を指摘している。例えば税理士事務所の事業承継にあたって、業務の円滑な引き継ぎなどのために所長税理士に社員税理士への就任を依頼したところ、無限連帯責任があるために躊躇されたというケースは少なくないそうだ。「『自分が関わっていないほかの支店の案件で、もしトラブルが起きたらどうなるのか』と不安を抱かれるのは当然のこと。せっかくスムーズに進むはずだった事業承継に壁≠ェ生じてしまいかねない。これは承継を検討している税理士にとって望ましい状況ではない」(木村氏)。税理士法人の持続的な運営に支障をきたし、ひいては納税者サービス全体の低下につながりかねないと警鐘を鳴らす。

 税理士のリスクの程度を考えるうえで、顧客から受ける損害賠償請求額はどのくらいにまで膨らむ可能性があるのかという点は確認しておきたい。税理士職業賠償責任保険の最新事故事例(2023年度)によると、税賠事故633件のうち保険金支払額が500万円未満のケースが510件(全体の80.6%)と大多数で、3千万円を超えた事例は10件(1.6%)に過ぎない。1億円以上はゼロ件だった・・・(この先は紙面で…)

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