国内の月別の死者数は毎年1月が最も多い。2023年には被相続人157万6016人のうち、1月だけで16万7666人(年間の10.6%)を占めた。急激な温度の変化で血圧が乱高下することなどが関係しているとされ、その前後の月もやはりほかの月と比べて多くなる。そうした事情から、葬儀社の繁忙期は12月から翌年2月だという。
相続に関わる税理士事務所では、冬に家族を亡くした遺族が財産の総額を把握した後、遺産分割協議を経て相続税申告に移るこれからの時期に業務が本格化することになる。申告期限までの限られた期間で間違いのない税務助言と申告をすることが求められているなかで、税理士による類似のミスが毎年発生しているので注意しなければならない。
日税連保険サービスがまとめた税理士賠償責任保険(税賠保険)に関する統計では、消費税関連のミスが毎年目立つ。2023年7月〜24年6月の期間でみても、保険金の支払い対象となった事故633件のうち、消費税だけで308件と全体のほぼ半数(48.7%)を占めているためだ。だが、件数ベースでは33件で全体の5.2%に過ぎない相続税関連の事故は、保険事故1件当たりの金額ベースではほかを大きく引き離す。消費税関連が345万5千円、所得税関連が296万6千円、法人税関連が413万2千円であるのに対し、相続税関連は672万7千円にもおよぶ状況だ。
相続税の税賠事故は、必ずしもほかの税目と比べて複雑であることが原因で発生しているわけではない。特に毎年のように発覚するのが、小規模宅地の特例の適用に関する単純なミスだ。日税連が機関紙に掲載した税賠事故の最新事例をみると、相続税関連として紹介されている2件のどちらもが小規模宅地の特例の適用失念となっている・・・(この先は紙面で…)