相続税調査とは?
相続税調査は何のために行われるものなのでしょうか?
税務署では相続発生のずっと前より、被相続人に関する膨大な資料を蓄積しており、それらと申告内容とを照らし合わせたうえで、総合的な確認作業を行うために調査を行います。ですから、単に税務署に提出された相続税申告書の内容確認のためだけに、税務調査が行われるというわけではないのです。
いつ頃から準備を始めたらよいのでしょうか?
相続税対策は、被相続人を中心に生前より準備をしますが、調査に向けた準備まではなかなかできないのが現実です。主な相続人が、遺産内容の詳細多岐にわたる理解や把握をし直すことが、調査対応の基本です。そのためには、項目ごとに系統立てた整理作業などが必要になります。また、まずは相続税の税務調査の概要から実態までを理解することが肝要です。
家族全員で協力しなければならない理由は?
調査される内容は、被相続人の財産に関することが中心ですが、その本人はすでに亡くなっています。調査の際に、財産内容やその取得経緯について、あやふやでいい加減な回答ばかりに終始した場合、当然、心から納得のいかない結果になりかねません。家族皆で被相続人との生前のやりとりや言動についての記憶をたどることで、きちんとした正確な調査対応に役立ちます。
相続税調査の概要が、なぜ世の中に知られていないのでしょうか?
相続の税務調査件数はその絶対数が多くないということ、法人の税務調査のように定期的に実施されるものではない、といった理由で一般的にはあまりポピュラーなテーマではありません。また、調査に入られたこと自体は決して悪いことではないにせよ、それをあえて周囲に吹聴する人も多くはいません。調査が入れば、遺産を隠す意図の有無に関わらず、ほとんどのケースで追徴課税となります。
したがって、あたかも脱税してたかのように思われたくないのも人情ですので、口外するケースは少ないのかもしれません。
準備しなかった場合にはどうなるのでしょうか?
多くの場合、相続の税務調査は単なる確認作業と思われていることが多いようです。しかしただ確認するためだけにわざわざ調査官が時間や経費をかけて赴くというのも考えにくいことです。
当たり前の話ですが、税務署は長年時間を掛けて資料を蓄積・整備し、その上で非常に緻密に事前準備を行い、真剣この上ない姿勢で調査に臨みます。相続人が遺産を故意に隠す意図がなくても、相続人が故人の財産の詳細を完璧に把握し、さらに相続人と税務署の見解が100%合致しない限り、是認とはなりません。相続人側が準備をしないでいい理由はありません。
CASE〜ある遺族の経験〜ページでは、実際の調査を経験した遺族からのコメントを掲載しています。
さあ、今日から「相続税調査」対策をはじめましょう。
税務調査への準備といっても、何を、どこから、どう手をつけていいかわからないのが普通です。
そこで、【相続税調査のすべて〜対応マニュアル&ノウハウ集〜】では、まず税務調査の目的や概要を知り、さらに映像などで調査現場を臨場感をもって理解したうえで、対応マニュアルに沿ってひとつづつ準備を重ねていけるように構成されています。
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Vol.20 合理的な調査手法が開発 国税賦課部門、すなわち直税といわれている資産・所得・法人3税と間税といわれている消費税の各調査部門は、それぞれ縦割り組織であり、同じ税務署においてさえまるで別会社のように交流がないことはよく知られた事実である。 このことは人生最後の調査である相続税調査において、資料収集・調査選定・具体的調査実施の局面で非効率的であるといわれて久しかった。 法人税や所得税調査においてさえ、被相続人と事業体ないしは、法人の関係における相互関係から有益な情報が得られることが少なくない。 また、消費税・印紙税・源泉所得税などは、かなり以前から所得税あるいは法人税調査と合同で調査実施されていた関係もあり、他税目との合同調査の有効性はかなり実証が進んでいた。 それゆえ、当局は、直税3税と消費税・印紙税をまとめて調査可能な部署を近年試験運転の後、スタートさせた。仮に「合同特別調査部門」と呼んでおこう。そうなると、いままでの資産税調査がほとんど踏み込んでいなかった「資産評価」特に土地や未上場株式の評価が有機的に連結され、今まで以上に精緻な調査が実施される確率が高い。 また、調査手法は、所得税調査や法人税調査の荒っぽいテクニックが導入され、不正発見割合も上昇して行くことが考えられる。そういった調査傾向がすべてといわないまでも、そこそこの相続事案では、一般的になる日も近いと考えたほうがいいだろう。 残された相続人のためにも、今後ますます適切な財産承継準備は怠れない。 【プロフィール】 国税庁退官後、経営コンサルタントとして活躍。国税当局在職中は、東京国税局や管内税務署で数多くの税務調査を担当。 エヌピー通信社編集参与として「納税通信」に「元調査官極秘ファイル」(連載60回)を執筆。 |